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55/136

55_村の英雄

 カキン。


 神殿に鳴り響く剣撃の轟音。衝撃波が周囲に走る中、ダンテとテラは互いの顔を寄せる。殺戮の鬼と化したテラの瞳は光を失い、虚ろになっている。


「テラ、すぐに救ってみせるから。少しの間、待っててくれよ」


「……」


 テラの剣を受け止めながら、ダンテはテラに語りかけるが、彼から返事は返ってこない。ダンテの声は、もはや彼の心には、届かなくなっていた。


 ダンテが腕の筋肉を隆起させ、テラの剣を押し返そうとする。テラは彼の尋常ならざる腕力に脅威を感じ、さっと後ろに下がり距離をとる。


「殺してしまえ、そいつを!」


「なんなんだ、そいつは!さっさとやってしまえ!」


 周囲にいた村人たちは、殺戮の鬼と化したテラにひどく怯えていた。心ない辛辣な言葉を容赦なく吐き捨てる。村人の叫びを聞いたダンテは、こめかみの辺りに血管を浮かび上がらせ怒りをあらわにする。


「うるさい!!!テラを殺しやしない!テラは仲間だ!命をかけて、一人、魔物に立ち向かって人々の命を守った英雄だ!」


 威圧感たっぷりのダンテの叫びに、ヤジを飛ばしていた村人は気圧されてズルズルと後ずさった。


「そうよ、彼は英雄だ!」


「僕も見たよ、一人勇敢に魔物たちに立ち向かう姿を!」


「私も助けてもらった、彼がいなければ私は今ここにいない!」


 テラが命がけで魔物と戦っていた様子を見ていた村の人たちも、ダンテの言葉に同調するように声を上げた。


「……すまなかった、ひどい言葉を思わず吐いてしまった」


 ヤジを飛ばした村人は、感情まかせに言ってしまったことを反省し、深々と頭を下げた。


「お願い。テラを助けてあげて」


 一人の少女が前に出て、真剣な表情を浮かべダンテに頼んだ。


「任せとけ!」


 ダンテは満面の笑みを浮かべ少女にそう答えると剣を構えテラの方を見た。


「テラは、多くの人たちに愛されてるのね」 


 メイテツが、周囲の村人の反応を見て呟いた。


「ああ、なんだか安心したよ。とにかくテラの動きを止めよう、メイテツ」


 脱力。


 ダンテは、足部の力を抜き、一気に力を入れると思いっきり地面を蹴って全速力に駆ける。

 

 テラは、それでも脅威的な動体視力で彼の俊敏な動きを捉えている。


 この動きでも、捉えてくるか。全く隙がない。なら、彼の初見の技で攻めてみるか。


 風の力ー通常モードー


 ダンテは風の力を使用し、自身の身体をテラの背後に吹き飛ばす。彼の狙い通り、テラの視界から外れることに成功する。


 今だ。背中ががら空きだ。ここを攻める。


 ダンテは再度、両手に風の力を溜めてテラに向かって放った。


 だが、彼にとって、予想外のことが起こる。


 テラは、ダンテの気配を瞬時に感じ取ったのか光の剣を背中にやりガードする素振りを見せる。その直後、ダンテの身体に強烈な衝撃が走る。


「ぐはっ!?」


 ダンテは、悶絶の言葉を出し、神殿の壁まで勢いよく吹き飛ばされる。彼の衝突した壁は崩壊し砂煙を上げる。


 何をされた……。まるで、自分の風の力を受けたような感覚だった。

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