54_殺戮のテラ
「きゃあああああああああ!!!!」
「やめろ!やめてくれぇえええええ!!!」
神殿の奥に進むと、村人の阿鼻叫喚の声が聞こえてきた。村人の男が語っていた金色の剣を持つ男が無差別に人々を襲っているのだろう。
ダンテは、人々が襲われている状況にきゅっと眉を寄せる。いち早く村人たちの命を守るため神殿の回廊を走り抜けた。そして、神殿の奥の円状の広場までたどり着く。
嘘だろ、どうして……。
ダンテの心はひどく揺れる。ずっと、つきまとっていた嫌な予感の正体がようやく分かった。
「テラ……」
そう言ったダンテの視線の先には、広場の緑地部分で、血で染まった光の剣を振り回し村人を襲うテラの姿だった。テラは、ダンテの存在に気づき、悲しそうな表情を浮かべ彼の方を振り向く。
「ダンテ……頼む、俺を殺してくれ……」
ダンテの方を振り向いたテラの額には、瞳のようなものがあり赤く輝いている。テラの左右の瞳からは、涙がこぼれ、持っている光の剣は小刻みに震えていた。そんな彼の様子から、望んで村人を襲っているのではなく、何者かに身体を操られているのだと察した。
何人かすでにテラに傷を負わされ、地面に倒れているが、まだ村人の大部分は、彼から血相を変えて逃げていく。
殺せ。彼を……ダンテを殺せ。
テラの頭に、ソフィーの声が響く。テラは、頭を両手で抱え込み、苦しそうな様子を見せる。
「ダンテ、テラの様子がおかしい。なんとか、救い出せないかしら」
メイテツは、テラの苦しむ様子を見てダンテに言った。
「分からない。だけど、テラは仲間だ。絶対に救い出す!」
ダンテは、テラのことを諦めてはいない。拳を握りしめ、彼の方を見つめた。
「駄目だ、俺を殺して止めてくれ!俺のことなんて考えるな!このままだと、俺は、この手で大切な村の人たちや君を斬り殺してしまう!それだけは絶対に嫌なんだ!」
テラは、頭に両手をやりながら涙を流しながらダンテに向かって必死で叫んだ。
「テラ、そんなことできるわけないだろ!確かにそれが近道なのかもしれない。でも、俺は自分の信念を曲げてまで近道なんかしたくない!だから、俺は何としてもテラ、お前を止めてみせる!助け出してみせる!」
負けずとダンテは、テラに叫んでなんとしても助け出すという確固たる意思を示す。
「ダンテ……助けて……」
ダンテの力強い言葉に、テラは助けを求める言葉を口に出すと、完全に彼の意識は途切れる。そして、彼は感情を持たない殺戮の鬼と化す。
カキン。
直後、神殿の中で剣と剣が激しくぶつかり合う音が響き渡り、ダンテとテラは互いの顔を寄せる。




