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52_布石

 一つのダンジョンが強烈な吹雪に吹かれ白神山に高くそびえ立つ。そのダンジョンは、氷雪が吹き荒れる場所に現れたことから《氷のダンジョン》と名付けられた。

 

 ダンジョンの最上階で、遠方に見える世界樹の上にあるエウノキ村を眺める者たちがいた。


「どうやら、私の操る怨球が破壊されたようだ。ダンテという男、なかなかの実力の持ち主のようだ」


 天の一人ソフィーがダンテによって球体を破壊され、悔しそうにグッと奥歯を噛み締めて両拳を握りしめる。


「ああ、それにカカもやられた。天の中で最弱とはいえ、あいつとは、長い仲だったから、少し寂しい気持ちになるよ」


 闘争心をむき出しにするソフィーに対して、フエンは、少し寂しげな表情を見せた。

  

「魔法が機能しなくなった今、唯一、我々魔族の脅威となりうるのな、剣士の存在。世界の大異変を受けて、世界各地の聖騎士たちが結託しダンジョン攻略の動きを強めているようだ」


 ソフィーの言葉に、眉をピクリと動かしフエンが彼の方を振り向いた。


「聖騎士か。厄介な奴らだ。特に六剣神と呼ばれる奴らは、かなりの脅威になりうる。そんな彼らがダンジョン攻略の動きに出るのは当然と言えそうだね」


 フエンは、ダンジョンをトコトコと歩きながら言った。


「あのお方が我々、天を各ダンジョンに派遣したのもそれを見越してのことなのだろう。我々、天がいる限り、ダンジョンを攻略することはない」


 ソフィーは、そう言って両腕を組む。


「ソフィー、君は楽観的だね。あまり自分の力を過信すべきではないよ。カカはおそらく、己の力を過信し奴にやられたんだ。常に最悪を想定すべきだよ」


「……。フエン、お前はダンテという剣士が、ここまで来れると思うか?」


「僕の直感だけど、彼は来ると思う。だって、彼女がいるからね」


 そう言って、フエンが視線を向けたのは、茨に包まれ眠るハンナの姿だ。茨の魔力で、彼女は安らかに眠っている。


「時の魔女か……」


 ソフィーは、ハンナにそっと視線を向け呟いた。


「残念だが、フエン、お前の予想は外れる。私は、カカのように力を過信している訳ではない。慎重なのでな」


「うん?その嫌らしい顔、何かしてきたね?」


 ソフィーが薄気味悪い笑みを浮かべているのを見て、微笑みながらフエンは言った。


「ああ、そろそろ奴の中に眠る怨虫が目を覚ます頃だ」


 ※※※


 ダンテは、魔族との戦闘の後、村人たちが避難しているであろう虹の神殿の前まで来ていた。


「帰って来たわね、ダンテ」


 メイテツは、虹の神殿の巨大な扉を眺めるダンテに向かって話しかける。


「この中に、村の人たちが避難しているはずだ……」


 さっそくダンテは虹の神殿の扉に近づこうとした時だ。嫌な予感が全身をすっと駆け抜けて、ダンテは足を止めた。


「どうしたの、ダンテ?」


 不安げな様子を見せるダンテを心配し、メイテツは問いかける。その彼女の問いかけに一言、彼は答える。


「なんだかよく分からないけれど、とても嫌な予感がする……」



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