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05_白の神殿

 ダンテは、鳥のさえずりを聞きハッと目を覚ます。


 ここはどこだ……。それにハンナがいない。


 彼が目を覚ましたのは、白い神殿のような場所だ。いくつもの柱が、白く平らな天井を支えていた。天井の一部が崩れ落ちた箇所から、温かな日の光が差し込んでいる。壁には幾何学的な模様が刻まれており、なんとも言えない神聖な雰囲気が漂っている。


 さっと見渡してみたが、やはり近くにハンナの姿はない。


 彼女は言っていた。1000年後の未来へ連れて行くと。だとすれば、ここは1000年後の世界ということなのか。


 ダンテは彼女の言葉をふと頭を過る。だが、にわかに、遠い未来の世界に来たなど信じられない。


 彼は、とりあえず、まずはこの白い神殿を歩いてハンナを探すことにした。彼女に会って話せば、きっと色々と分からないことを教えてくれるはずだ。

それに、窮地を救ってくれた彼女に会って感謝の言葉を伝えたい気持ちも彼にはあった。


 #¥%&-+()/。


 なんだ、この感覚は……。


 白い神殿を歩いている時だった。急に変な声が聞こえて、彼はピタッと立ち止まる。実際に外部の音として聞こえた感じではない。まるで頭の中に直接、話しかけれたような感覚だ。


 聞いたこともない声に、聞いたこともない言語。


 本来なら、単なるノイズに過ぎないが、何故かダンテはなんとなく先程聞こえた声が何を言わんとしていたかが分かった。


 こっちへ来い。って、言われた気がする……。


 彼は横を振り向くと、その先には巨大な石の扉があった。


 この石の扉の先に、先程の声の主がいるのかもしれない。だけど、なかなか、この扉を開けるのは骨が折れそうだな。


 ダンテは今、片腕を失った状態だ。つまり、片腕だけで、巨大な石の扉を開けなければならない。


 石の扉の前まで行くと試しに扉の隙間に手をやり、思いっきり力を入れる。


 くっ、これはやばい!?


 剣士であるダンテは日頃、身体を十分に鍛えていた。常人ではまず動かせない石でも容易に持ち上げる程の怪力ではあったが、今回の石の扉は、簡単ではなかった。


 足の踏ん張りを効かせ、歯をぐっと噛み締めると、鍛えられた片腕をプルプルと震わせる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ。


 なんとかダンテはその持ち前の馬鹿力で、片腕という状態ではあったが、巨大な石の扉をなんとか開くことができた。


 やった!開いた!


 ダンテは、額から出た汗を拭い、早速、扉の先へと足を踏み入れる。


 扉の先は、円状の空間が広がっていた。周りは、真っ白な壁に囲まれている。そして、彼の目に真っ先に入ってきたのが、真ん中の地面に突き刺さった剣だ。


 なんだ、あのいかにもな、剣は……。もしかして、俺を呼んだのは、あの剣なのか。


 地面に突き刺さった剣の刃は光を反射して妖しく光る。


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