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46_カカ

 魔法の才能がないことで周囲から冷ややかな目で見られながらも、親友トトの存在が、唯一カカの支えとなっていた。だが、ある日、カカは悲劇的な場面を目撃してしまう。


 魔法学校の廊下を歩いていると、何やら話し声が聞こえたので、角に隠れて様子を伺う。


 どうやらトトとクラスメイトがカカのことについて話しているようだった。


「トト、どうしていつもあんな奴と仲良くしてるんだよ?」


 クラスメイトの一人が、隣のトトに問いかける。


「カカのことか。そりゃあ、決まってるだろ。俺の株を上げるためだよ」


 トトは、淡々とそう答えた。


「なっ!?」


 思わず、カカは思わずトトの裏の一面を垣間見て声を漏らす。


 トトたちはまだカカの存在を気づいていないようで話を続ける。


「何もできないあいつに手を差し伸べることで、周りから良いやつだって思われるだろ。それだけの話さ」


 笑みを浮かべながら、悪気もなくそう語る姿に、カカは、悲しそうな目をして眺める。


「トト、お前、悪いな」


「「ハハハハハハハハハ」」


 静寂に包まれた廊下で腹黒い笑い声が躍る。


 カカは、ぎゅっと拳を握りしめると、その声から、逃げるようにカカは両耳を手でふさいでさっと立ち去る。


 信じていたのに。トト、お前だけは俺の味方だって思っていたのに……。許さない。何よりも己の非力さに。


 カカの目から絶え間なく涙がこぼれ悔しさのあまり唇をガッと噛み締める。


 その翌朝のことだった。


 昨日のことが頭によぎり遅刻してカカは魔法学校の教室に来た。教室に近づいた時、すぐにいつもとなにかが違うことに気づいた。


 カカは、鼻に手をやり、苦虫を噛みつぶしたような顔をする。


 血の匂いだ。鼻を刺すような強烈な血の匂いがする。


 窓から教室の様子を見るとクラスメイトが血を流しながら倒れていた。その中には、トトの姿もあった。


「なんだ、これは……」


 思わず、目の前の光景に声を漏らし後ずさる。すると、トンと何かにぶつかる。


 恐る恐る後ろを振り向くと、異様な雰囲気のフードをかぶった男が立っていた。顔はよく見えないが、ただならぬ威圧感から人間ではない存在だとカカは直感した。


「お、お前が、これをやったのか?」


「そうだ。私が、やった」


「何のために?」


「人間の腐敗のニオイがしたからだ」


「……。私のことも殺すのか?」


「いや、やめておこう。お前からは、素質を感じる。魔族に生まれ変わり我々、天に協力してもらう。うん……何をそんなに笑っている?」


 カカは、無意識に不気味な微笑みを浮かべていた。


「分からない。自分でも。ただ、今は笑いたい気分なんだ。もう、どうなってもいい。やるならやれ……」


「ふん、面白い。やはり私の目に狂いはなかったようだ」


 男は、片手を前に出すと、ムカデのような生き物が袖から這って現れ、カカの口元に落ちる。

 

 そして、その生き物は、口から、カカの身体の中に侵入し蠢く。


「う、うぐぐぐぐぐぐぐ!!!!うぁあああああ!!!!」


 カカは、体の内側から何かが蠢き溶けていく感覚に悶絶し、手足を激しくばたつかせた。


 この著しい身体の変化に伴う強烈な苦痛に耐え抜いた末、カカはついに魔族としての身体を手にする。


「素晴らしい。力だ。もう誰にも蔑まれない。力の強さこそが生き物としての存在価値なのだ。今度は、私が、踏みにじる番だ……」


 心底から湧き上がる憤怒の気持ち。その尋常ならざる気持ちとともに荒々しく燃え盛る炎のごとくマゴが発現する。


 今までの出来事を走馬灯のように思い出したカカ。


「我、ここに敗れたり」


 ダンテの風の弾丸に貫かれ、身体に穴があいた状態でそう一言呟く。そして、彼は地面にバタリと倒れ込んだ。





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