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41_一抹の希望

 ダンテが両手から生み出した風はカカの身体に見事に直撃した。


「ぐっ!?」


 不意を突かれ無防備なカカは、防御する暇もなかった。なすすべもなくダンテの放った風の力をもろに全身に受けて、声を漏らす。

  

 その直後、大地に拒絶されたかのように、地面から離れ上空の遥か彼方まであっという間に吹き飛んでいった。


 やったのか……。さすがに、至近距離で全力の風の力を食らわしたんだ。無事では済まないはずだ。


 ダンテは、カカが吹き飛んで姿を消した上空を仰ぐ。最大出力の風の力を直撃させたものの、彼は不思議と安堵することができなかった。カカを本当に倒せたのだろうかと不安な気持ちが心のどこかであったからだ。


「ダンテさん……」


 ダンテの名前を呼ぶ声がした。聞き覚えのある声にサッと振り向くと、コウとヒイの2人が立っていた。


 この人たちは、村で魔物に襲われてた人たちだ。


 ダンテは、彼らの顔を見て、村に侵入してきた魔物たちから2人を救い出した時のことをふと思い出した。

 

「ダンテさん、ありがとうございます」


「感謝します。あの魔族を倒してくれて」


 コウとヒイの二人は、深々とお辞儀をして懇切丁寧に感謝の気持ちを伝える。


「いや、俺はただ仲間の仇討ちをしただけなんだ。感謝されるほどのことはしてないよ。本当に、感謝されるべきはテラの方だ」


 ダンテは、目を閉じて地面に倒れるテラの方を見た。


「テラさんは、一人、魔物たちと戦ってくれました。そのおかげで、村の人たちは虹の神殿に避難することができたんです」


 コウがそう言うと、ダンテは大きく目を見開いた。


「そうか、村の人たちの姿を見かけないと思ったら、みんな、虹の神殿に避難していたのか。テラは、最期に人々を守る聖騎士としての責務を全うできたんだな」


 ダンテは、気になっていた村人たちの行方を知り、ホッと一安心した。皆、侵入してきた魔物たちに襲われ命を失っている可能性も考えられた。


 ダンテの話を聞いて、テラの様子を観察していたヒイが、言った。


「まだ、テラさんの命は助かるかもしれません。俺たち、こう見えて、この村のA級治癒師なんです」


「て、テラの命が助けられるのか!!!」


 テラの命はもう救いようがないものだと思い込んでいたダンテは、ヒイの言葉に思わず叫び声を上げ驚愕する。


「ええ、ただ一刻を争います。テラさんは極度のマナ不足状態です。虹の神殿まで行って女神様にマナの補給をしてもらう必要があります」


 ヒイは、テラを一刻も早く女神のいる虹の神殿に連れていく必要があることをダンテに伝えた。


「そうか、なら、急いで……」

 

 ダンテは、言葉を言い終える前に急に顔を曇らせ口を横一文字にする。


 この気配、まさか。


 上空から迫る禍々しいマゴを感じ取った彼は、さっと全身に緊張が走り唾をゴクリと飲み込んだ。

  

 間違いない。カカだ。


 まだ彼は生きている。

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