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36_風を操るもの

 ダンテが感じた身の危険は、気のせいではなかった。集まったピュアのエネルギーは、メイテツの緑色のボディによって、風を生み出す力へと還元された。


 問題は、ダンテが初めてこの力を使うにあたり、力の加減を知らなかったことにあった。一気に集めた、膨大なピュアのエネルギーは、嵐のごとく強風を左手から放つ。


「風の勢いが強すぎる!!俺の体も飛ばされる!!」


 前方に凄まじい風がブワッと吹き荒れ、あまりの勢いに彼の身体は軽々と後方へと吹き飛ばされた。そのまま神殿の壁にダンテは背中を激しくぶつけてしまう。


「ぐはっ!?」


 衝突したダンテは、壁にもたれかかったまま立ち上がることができなかった。身体は震えて、立ち上がることを拒絶している。この時、ようやく彼は気づく。改めて神殿の試練により、限界近くまで身体を酷使してしまっていたことを。


「おじさん、大丈夫!?」


 近くにいたカリンが心配し慌ててダンテのもとに歩み寄ると回復魔法を使用して彼の身体を癒す。


「助かるよ、カリン。思ってた以上に、身体に負担がかかっていたみたいだ」


 ダンテは、身体をぐったりとさせながら、回復魔法で傷口を塞いでくれているカリンの方にそっと顔を向けて言った。


「まだ、風の力をうまく扱えないみたいね」


 メイテツは、ダンテが先程、風の力を暴発させてしまったことに言及する。


「風の力は割と扱いが難しい。だけど色々と使い所がありそうだな。使いながら、力の使い方を学ばせてもらうよ」


 ダンテは、暴発させてしまったものの、風の力に対してネガティブな意識を持ってはいなかった。むしろ、力をうまく使いこなす事が出来れば、とても役に立つ力だと感じていた。


「さっきみたいに、怪我するような無茶はしないでよ」


 メイテツは、ダンテの身を案じ忠告する。


「あ、ああ……多分」


 ダンテは、歯切れの悪い返事を返す。


「微妙な返事ね」


 メイテツは、ダンテの言葉に疑いを持つ。


「ごめん、約束はできない。大切な人たちを守るためなら多少の無茶はするかなって」


 ダンテは申し訳無さそうにメイテツに向かって言った。


「あなたらしいわね。少しの間だけど、あなたという人間が分かってきた気がするわ」


 ダンテは、カリンに回復魔法で身体の怪我を治療してもらった後、いくつか風の力の練習をしてから緑の神殿を出た。


 太陽の光が差し込む中、ダンテは世界樹の上にあるエウノキ村の方をさっと眺める。


 風の力を得た今ならば、村まで直ぐに行けるかもしれない。それに、魔族たちとまともに戦えるはずだ。


 彼は、拳をぎゅっと握りしめエウノキ村で助けを求めている人たちのことを思った。世界樹の根もとに落下した時は、世界樹の上にあるエウノキ村に行く手段がなかったが、今は風の力がある。


「行くのね、エウノキ村に」


 カリンは、村を見つめるダンテの様子に彼の心中を推し量りそう言った。


「ああ、行ってくる。カリンは安全なところに逃げておいたほうがいい。ここも、いつ魔族たちが来てもおかしくない」


「うん、分かった。おじさん、死なないでね」


 カリンは、真剣な眼差しを彼に向ける。


「ああ、死なないさ」


 ダンテはカリンの真剣な態度に応えるように答えた。


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