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26_森の中の少女

 薄れ行く意識の中、ダンテは世界樹の外へと吹き飛ばされ、真っ直ぐ落下していた。


 ヒューーーーー。


 勢いよく風を切る音がダンテの耳に絶え間なく流れ込んでくる。


 世界樹の下部まで行くと、次第に周囲が暗くなり、森林の中へと沈んでいく。


 このまま落下すれば、あの世行きだ。一か八か、やるしかない。


 苔に覆われた地面を見つめる。ダンテは激しく鼓動する心臓を落ち着かせ、呼吸を整えると集中力を極限まで高める。


 やるのね、あなたの考えが伝わってくるわ。


 左腕のメイテツの声がダンテの頭に響く。


 地面に落下する直前。ダンテは頭の中で鮮明にあるイメージを構築していく。すると、左腕のメイテツがニョキニョキと変形し始める。メイテツは地面の方にグッと伸びると、地面に触れた直後、さっと四方に広がるクッションのような状態になる。


 ダンテは身を預けるように四方に広がったメイテツの上に落下する。メイテツの黒い身体は、ダンテのイメージ通り、彼の身体を優しく包み込み、世界樹のエウノキ村からの落下ダメージを見事に吸収し最小限にする。


 な、なんとか、うまくいった……。


 ダンテは、安堵の声を漏らす。少しでも、イメージが崩れれば、成功はしていなかった。落下する最中、何度もちらつく死のイメージを驚異的な集中力で抑え込み、メイテツを自らを包む物体へと変形することだけに意識を注いだ。その結果の果て、ダンテは落下による死を免れる事が出来たのだった。


 とはいえ、状況は芳しくはない。カカによる衝撃波で、ダンテの身体は、ボロボロになっていた。歩くのも一苦労だ。あくまで死を免れただけの状況だった。


「はぁ……はあ……はあ……」


 体力は限界に近づいていた。ダンテは息を切らしながら森の中をゆっくりと進み、世界樹の木の幹に手でそっと触れる。


「この上のエウノキ村で魔族や魔物たちが暴れてる。助けにいかないと」


 だが、彼の思いとは裏腹に身体は、小刻みに震えて悲鳴を上げていた。


 視界が真っ暗になっていく。途端に力がすっと抜けていた。


「大丈夫?」


 ダンテを心配する声が響く。ふと、ダンテは、声がした方を見た。


 小さな少女が、今にも意識を失いかけようとしているダンテを見つめている。ダンテは、目を大きく見開いた後、すっと真剣な表情になった。


 少女の後ろ側に、凶悪な魔物の気配を感じたからだ。


「えっ」


 少女も後ろから迫る魔物に気づき、茫然とする。


 カキン。


 硬い者同士がぶつかり合う音がした。少女を襲ったのは、フクロウ型の魔物プクロウだ。プクロウの鉤爪を片腕の剣でダンテは、防いでいた。


 守る。俺の命の灯火が消えてしまう前に、この子だけでも。


 ダンテは闘志を燃やした鋭い眼光をプクロウに向けた。

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