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135/145

135_策略

 黒影の巨大な斧が、空気を引き裂きながらワイトの顔面へと振り下ろされる。


(――まずい。不意を突かれた……!)


 ワイトは自覚する。

 回避が、わずかに遅れた。


 戦場では、その“わずか”が命を分ける。


 ――ガキィィン!!


 金属同士が噛み合う轟音が炸裂した。


「俺を無視してんじゃねぇよ!お前の相手は、俺だろ!!」


 斧を受け止めていたのは、ダンテだった。


 左腕を剣へと変形させ、黒影の一撃を正面から受け止めている。


 その瞳には、怒りと闘志が燃えていた。


「……ダンテさん。生きていたのですね」


 ワイトの声に、ダンテはわずかに口角を上げる。


「ああ……なんとかな」


 ダンテは即座に剣へ風を纏わせ、力を解放する。


 ゴオォと唸りを上げた風圧が斧を弾き飛ばし、そのまま黒影の巨体を直撃した。


 黒影は抵抗する間もなく遠方まで吹き飛ばされた。


 ダンテとワイトは、咄嗟に背中合わせとなった。


 呼吸を合わせ、戦場で得た情報を一気に交換する。


「あの黒い化け物……見た技を模倣してくる。下手に手の内を見せるとまずい。風の力も、もう一度使われる可能性が高い」


「白のほうは、異常な再生能力を持っています。粉微塵にしても、あの通りほとんど元通りです」


 二人の視線の先で、白影の身体が、ぐにゃりと蠢きながら再構築されていく。


「……となると」


「ええ。この化け物を生み出したフエンを倒すのが一番手っ取り早いです」


 ダンテは、遠方から再び接近してくる黒影のマゴを感じ取り、言う。


「そうだな、今のところそれ以外無さそうだ」


 ワイトは一瞬だけ視線をダンテに向け、覚悟を込めて告げた。


「この二体と対峙しながら、フエンのもとへ向かいましょう」


「ああ」


 二人は並び立ち、再び正面を見据える。


 黒影は、恐ろしい速度で帰還していた。

 白影も、完全に再生を終えている。


 両者は、不気味な笑みを浮かべ、涎を垂らしながらこちらを見つめていた。


 まるで、人間を喰らうことを心から楽しみにしている捕食者のように。


 ※※※


「ふふ……どうやら、影の脅威に気づいたようだね」


 フエンは玉座に腰掛けたまま、愉悦の笑みを浮かべる。


「まだ遊べそうだ。僕のところまで来るつもりみたいだけど……無駄だよ」


 その瞬間。


 玉座の背後から、剣を構えた影が躍り出た。


 迷いのない一撃だ。


 ズバァン!!


 玉座は、一刀両断された。


「へぇ〜」


 フエンは、紙一重でその斬撃を避け、静かに立ち上がる。


「僕が一人になる瞬間を狙うとは……なかなか策士だね」


 振り返ったフエンの視線の先には。


 剣を構えるテラ。

 そして、杖を構えたルーシェ。


 二人は、決意に満ちた眼差しでフエンを見据えていた。

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