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129/143

129_復活

「届けぇええええええ!!!!」


 叫びと同時に、ダンテは必死にメイテツへと手を伸ばした。拒むように、腕を駆け上がる空気が逆流し、顔面へ叩きつけられる。


 それでもダンテは怯まない。奥歯がきしむほど食いしばり、腕を伸ばし続ける。視界が揺れ、身体が軋むように痛んでも、ただひたすらに。


 そしてついに、指先が冷たい金属に触れた。


「メイテツ……!来たぞ……!目を覚ませ、メイテツ!!」


 落下の風に声を奪われそうになりながら、ダンテは彼女の名を叫び続けた。


「……」


 反応はない。

 メイテツは、まるで命の抜けた鉄塊のように微動だにしなかった。


「メイテツ……嘘だろ……。やっと……やっと君のところに来たんだ。これ以上……君まで失ったら……」


 落下する勢いに身体を揺らされながら、ダンテはメイテツを胸へ抱き寄せた。


 胸の奥から抑えきれないものがこみ上げる。


 彼女はただ力を与えてくれる存在ではない。


 妻を失い、娘を失い、心が空白になった時、最も同じ時間を歩み、沈黙の隣にいてくれた存在。


 彼女は、ダンテの“支え”そのものだった。


 気づけば、視界が滲んでいた。ダンテの頬を涙が伝う。人前で弱さを見せることを極端に避けてきた彼が、堰を切ったように涙を流していた。


 ぽたり――。


 孤独と恐怖の色を帯びた涙が、メイテツの無機質な胴体に落ち、細い光の筋を作る。


 その瞬間だった。

 メイテツの身体が、かすかに震えた。


「ダンテ……泣かないで。私は……生きてる。助けてくれて……ありがとう……」


 やわらかい声が耳に触れた刹那、ダンテは弾かれたように顔をさっと上げた。


「メイテツ!!!」


 メイテツは静かに微笑んでいた。そのいつもと変わらぬ優しい笑みに、ダンテは胸の底から歓喜の叫びを漏らした。


「やっぱり……私がいないとダメね、ダンテは」


「会いたかった……!無事でよかった。もう二度と……会えないかと思った……!」


「あなたは成し遂げたのよ。自分の力で。離れていても、あなたの頑張りはちゃんと届いていたわ……。ただ、ゆっくり話している暇はなさそうね」


 ふたりは同時に視線を落とす。

 地面が、猛スピードで迫っていた。


「すまない……力を貸してくれ!メイテツ!」


「もちろんよ!」


 声が響いた瞬間、ダンテの左腕に彼女は宿る。


《変形の力》


 落下直前、メイテツはクッション状へと形を変えた。


 ダンテはその上に弾むように着地し、衝撃をやわらげながら軽やかに地面へ降り立つ。


「どうやら、彼女は無事だったようですね」


 すでに着地していたワイトが、横から静かに声をかける。


 ダンテは息を整え、振り返る。そして、穏やかな笑みを浮かべた。


「ああ」

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