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小椋夏己の創作ノート  作者: 小椋夏己
2024年  7月
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シャンタリオ王家のこと・その4

 前回は「盛り合わせ」で新しいパートに入って「かくれんぼについて」とそっちの話になりましたが、今回はあの王家のご家族の話に戻ります。親父と奥さんと進みましたので、今度は親父ともめた息子の話でも。


 本編の中にも書いていますが、皇太子と言っていいのか、まあそういう人の初恋の人が当代マユリア、当時のシャンタルでした。ちなみにその時、皇太子より3つ年下の4歳です。


 本当は女神様、そういう気持ちで見てはいけないんですが、それは当時まだ7歳の男の子、初恋と言ってもなんというか純粋な、幼稚園の子が「僕大人になったら花子ちゃんと結婚する~」というレベルのことだと思っていただけるといいかと思います。アイドルに憧れるとか、そういう感じ、純粋に「きれいな子だなあ」と思ったということです。

 思っても仕方がない。何しろ生まれた時に取り上げた産婆がそのあまりの神々しさに涙したぐらいの方ですから、幼くてもそのぐらいの魅力がありました。


 そうやって夢の中で女神様への想いを抱きつつ、現実では物心ついた頃には婚約者候補がいて、7歳ぐらいにはほぼ将来そのお嬢さんと結婚することが決まっていて、そういう方向で物事が進んでいく中で「将来の国王として」と、色々なことを教育されていき、自分の人生はそんなものだと受け入れて成長をしていくわけです。

 思えば悲しいですよね、幼稚園ぐらいから「おまえの人生はこれだ」ともう決められてしまっているんですし。かわいそうではあります。まあ、将来は王様ですが。


 奥さんになった皇太子妃は皮肉なことにマユリアと同い年。その方が13歳、皇太子が17歳の時に結婚しますが、もちろん特別な愛情なんてありません。でも「奥さんなんだから大事にしないと」との気持ちはありました。幸いにしてお互いに相手を大事にしようという穏やかな愛情は持てたので、いい家族にはなっていたと思います。


 ところが親父が、後宮に山程女性を抱えている国王が、


「人に戻ったらマユリアも後宮に」

 

 と言い出して皇太子はじっとしていられなくなります。


 それまで父親に逆らったことのない息子が初めて逆らってこう言いました。


「親父は親子ほど年が違うじゃない、俺の方がふさわしい」


 そこから親子の仲が険悪になりますが、最後には、


「国王に逆らうのか!」


 と、どうしようもない力でねじ伏せられ、もう生きていたくないほど苦しむんですが、その時にああいう事件が起こり、


「天の意は我にあり!」


 ということで妙な覚醒をしてしまい、


「十年後に見てろよ!」


 と、あらゆることに努力して努力して、努力しまくったのが、予定よりちょっと早くなりましたが八年後の「例の事件」ということでした。


 ある意味トーヤと同じく初恋をこじらせてしまったわけですが、こういうお立場の方がこんなになると困ったことになりますね。


「だ、誰が初恋こじらせたんだよ! いいか、俺はな、女に不自由したことなんて――」


 そうそう、そのへんでやめとこうか、誰かニコニコしてこっち見てる人がいるよ? しーらないっと!

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