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小椋夏己の創作ノート  作者: 小椋夏己
2024年  7月
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「黒のシャンタル第一部」について・その8

 「本名、偽名、正式名称」と「登場人物紹介」についての補足を書きましたので、一回飛んでその前からの寸止め状態の続きになります。


 トーヤを呼ぶ声、それはダルでした。


「おまえ何してるんだ、封鎖でもうカースには帰れないだろうが!」


 きっとトーヤと入れ違いにカースに戻ってくるだろうと思っていたダルが、そのまま宮に残ってました。封鎖は約一ヶ月は続きます、その間は村には帰れないことになる。残ってどうするつもりなのか。


「俺、トーヤを手伝うことにした」


 ダルはトーヤから生い立ちや過去を聞いて、それでもトーヤを嫌いになれず、悩んだ末にトーヤが受けた「仕事」を手伝う道を選んでいました。


 ダルはとても人のいい若者です。トーヤが自分を利用するために近づいたことも理解していますが、同時に自分のことを大事な友人と思っていてくれることも分かっています。

 それでもトーヤの出自や海賊船に乗ってこちらに来たこと、トーヤがこれまでそれを知られたら嫌われるであろうと思って隠していたことを知って、ショックは受けました。ですが、実際に自分が知っているトーヤは決して悪人ではない、大事な友だちだ、そう判断して残ることを決めたんです。


「おまえ、バカだろう……」


 トーヤがやっとの思いで口にしたその言葉に、


「うん、そうかもな」


 ダルは笑ってそう答え、その日からトーヤの隣室に滞在することになります。


 おどろくようなことは翌日にもありました。


「おはようございます」


 そう言って朝食を持ってきたのはミーヤでした。


「どうして……」


 昨日はいなかったミーヤ、てっきりトーヤのことを知って離れていったと思っていたミーヤがなぜ?


 ミーヤは知ってしまいました、トーヤの使命、今は「傭兵トーヤの仕事」として引き受けた「託宣の客人」「神の助け手」のやるべきことが何かを。


 それは、


「交代の日にシャンタルを連れて逃げること」


 です。

 

 つまり交代の日にはトーヤはこの国からいなくなってしまう。別れの日が来る。そしてそれはすぐ目の前のことだということを。


 ミーヤはその日が来ることを覚悟し、その上で後悔しないためにいつものようにトーヤに接します。

 そして自分の気持ちを大事にするようになったことから、トーヤに笑顔を向けるようになります。


「笑ってるのになんかこの人めちゃくちゃこええ……」

 

 第二部でベルが心底からびびるようになるその笑顔、それはこの時からということになります。


 トーヤもその笑顔にびびりながらも、ミーヤが離れていかなかったことで、がんばって仕事をしようと明るい気持ちを取り戻しました。


 ですがこの先の道はとても険しいものとなっていきます。

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