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小椋夏己の創作ノート  作者: 小椋夏己
2024年  7月
102/132

「黒のシャンタル第一部」について・その7

 トーヤが自分らしく行動できるようになったというところで前回は終わりました。


 実は、このダイジェスト版とも言える「第一部について」なんですが、とっても重要なキャラについてあえて触れていません。そのキャラがいるからトーヤの心が大きく動き、話も動くんですが、書いてしまうととんでもないネタバレになりかねないので、触れずにここまで進みました。

 ですので、「それはどんなキャラなんだろう」「どういう働きをしたんだろう」と知りたい方はぜひ本編を! と、宣伝を入れておきますので、よろしくお願いいたします。


 さて続きです。


 暗くなる道をこの国に来て初めて一人になって、馬を飛ばしてカースの村まで来たトーヤは、そこである人物と話をし、色々な考えをまとめることになります。そして思わぬ秘密も聞いてしまいます。


 それは、とても誰かに話せるような秘密ではありませんでした。おそらく宮の上部の人間は知っているだろうが、もしかするとこの国のナンバー2であるマユリアすら知らないかも知れない秘密。ですが、それを知ったために色々なことを考えることはできました。


 カースで一泊したトーヤは、翌日、昨日宮から「傭兵として仕事をする」ためにもらった前金を使い、これから約一月(ひとつき)の間、陸の孤島となるカースの村に「これでなんとかしのいでくれ」と必要と思われる食料品や品物を差し入れ、宮へと帰ります。


 実はカースというこの村、この村もなーんか色々とあったりするんですよね。そもそも「王都封鎖」と言って「王都リュセルス」の周囲をがっちりと壁やらなんやらで囲んで最低限しか出入りできなくするのに、端っこの海しかないこの村は「王都じゃないから」と言って文字通りどこともつながりがなくなってしまうんですよ。漁師の村で海とはつながってますが、陸路としては西側は海まで続く高い山に邪魔されて、それより向こうには行けません。そして西側は街道沿いの壁で「検問所」を通らないと王都に入れない。

 特に今回はなんやかんやあって突然に近い封鎖、だからトーヤの差し入れはとってもありがたいものでした。トーヤは話を聞くだけではなく、これから困るだろう村のためにも馬を走らせた部分があります。この時にはすでにそのぐらい、トーヤにとって大事な村となっていたということです。


「もうミーヤやダルとも前のように話せなくなってしまったように、カースの人々とも今みたいに話すこともなくなるんだろうな」


 トーヤは自分の生い立ちや過去をぶちまけてしまったことに後悔はありませんでした。それよりはわけも分からず、まるで自分も神の一人であるかのように扱われることの方がよっぽど居心地が悪かったからです。

 でもそのせいで親しくなった人たちに背中を向けられること、それは本当につらい。そう思いながら村を離れ、封鎖に間に合うように宮の自分に与えられた部屋に帰りますが、そこにミーヤはいません。


 ぽつんと一人、部屋のベッドに寝転がり、仕事のことを考えるトーヤ。まだまだ教えてもらっていない秘密もありそうですし、第一あの人形みたいに自分から動こうともしないシャンタルを、どうやってここから連れ出せばいいのか難問は山積みです。


 夕食を食べる時にもミーヤは姿を見せません。一人でもくもくとあまり味のしない食事を済ませ、トーヤはまた仕事のことを考えようとするのですが、どうにもうまく頭が働かない。


 ベッドに寝転がり、色々と考えているうちにトーヤはうとうととしてしまいます。


 そこに、


「トーヤ」


 誰かが来て自分を呼びます。


 一体誰が!


 というところで、気を持たせて次につなげることにします。

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