「黒のシャンタル第一部」について・その5
今回でこの「創作ノート」が100本目となりました。その記念すべき今回にも私の代表作と思っている「黒のシャンタル第一部」のことを書けるのはなんだか幸せです。
でも最近、エッセイの「色んなことが、ふと、気になって、気づけばエッセイ千本目の前」の方がどうも代表作っぽい気がしますが、書いてる本数があれだし、エッセイの方が読んでもらいやすいので当然と言えば当然かも知れません。
どの作品もよろしくお願いたします。100本目のお願いでした。
本題に入ります。トーヤがとんでもない悪党だった、というところまでだったでしょうか。
「違うからな! 俺は正義の味方だー!」
とどこかで言ってる声が聞こえますが、そうだったかなと流しながら始めます。
とりあえず色んな手を使いながらシャンタリオを脱出する方法を探すトーヤですが、そんなトーヤの気持ちに寄り添ってくれる人が出てきました。一番そばでトーヤを見ているミーヤと、その人の良さを利用しようと近づいたダルです。
トーヤは見た目結構お調子者みたいに見えたりしますが、それはあえてそういうのを演じてる部分もあるんですね。そもそもが父を知らずに生まれて4歳でたった一人の親を亡くし、その後は半分浮浪児みたいにして育ち、そこそこの年齢になったら「戦場稼ぎ」と言って、戦の後に落ちてるお金になりそうな物を拾ってお金に変えたり、スリやかっぱらいみたいなほぼ犯罪者みたいなことをして、その後は11歳から剣を握って傭兵家業に入りました。
かなり過酷な人生を歩んできたんです。そんな中、ただ一つ残っていた母親代わりの故郷のミーヤを亡くしてしまい、逃げるように船に乗った。
人はつらい時こそ笑うということがありませんか? トーヤの故郷の女たち、侍女ではない故郷のミーヤを含む恵まれない人生を歩いてきた女も本当によく笑いました。幸せなことがない人生だからこそ笑う。トーヤにもそんな部分があるんです。
と、こういう風に書いておいたら主人公君もちょっとぐらい納得してくれるだろうて。
「ほんとのことだー!」
という声が聞こえます。ええ、本当のことです。そんじゃ続けます。
そんなトーヤの本当の姿に触れ、ミーヤもダルも、
「トーヤが本気で逃げたいのなら手助けする」
そう言ってくれて、その心に触れたトーヤはこんな風に思って逃げるのをやめます。
「みんな自分の人生を生きてる、それがなんだか分からないが助け手ってやつが俺の運命なら、俺もそれを見届けてやる」
そして腰を据えて自分の人生をあらためて見つめ直し、一体それが何なのかを知りたい。
「だけど利用して使い捨てられるのはごめんだ、だから逃げ道だけは確保しておく」
そう言ってある逃走ルートを見つけ、そこから逃げる時のことを調べ始めるんですが、その時、ある人がそこに現れて……
以下、次を待て!