39:一文一文にこだわってみる
今まで何度も物語重視と言ってきましたが、とある小説を見て一文一文を明快に、そして深みのあるように書いてみたいと思いました。
では、それにはどうしたらいいでしょうか。
例えばこの一文。
『彼女の唇はとても綺麗だった。』
↑はダメな例の典型的なものです。
これを改変してきましょう。
『彼女の艶やかな唇は、赤く柔らかい。思わず吸いたくなった。』
上より多少良くなったものの、文章表現が若干足りず、直接すぎる気がします。
では次。
『それは、艶やかで美しく、紅のごとく輝いている。もし触れ合えたとしたらどれほど幸せだろう。想像するだけでドキドキしてしまった。』
長いし、伝わりにくいですね。
文章を妙にこねくり回すような表現。これはおそらく良くないでしょう。文章にこだわろうとすると大抵こうなりがちです。
回りくどくなく、かつ簡素でない方法を思いつき、書いてみました。
『彼女の艶やかな唇は、夕暮れ時の茜空のような色をしていた。とろけるほど柔らかいそれは、思わず触れたくなってしまう。』
どうでしょうか?
ずいぶんと良くなったのではないでしょうか?
比喩表現を使うとともに、文章が重くなりすぎないように工夫。感触もふんわり伝えるという手法を取ってみました。
うん、なかなかいいんじゃない? (自画自賛)
この方法を取れば、一文に魅力が出て小説がさらに良くなるかもです。
文章をこねるというのも、大事だなあと思います。




