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二頁目
……そこまで書いて、作家のHは筆を置いた。自然と深いため息が出る。長いこと画面を見すぎていたので、目が疲れてしょうがない。
劇中劇殺人事件。
来週の締め切りまでに書いている、推理作家Hの新作だった。
ミステリ小説の中に、殺人劇を挿入することまでは決まっているが、肝心のトリックも動機も何もできていない。こんなことになるなら、ミステリ作家なんて目指さなければ良かった。Hは深いため息をついて、頭を冷やそうと席を立ち、冷蔵庫を開けた。
「ぎゃあっ!?」
次の瞬間、Hは思わず悲鳴を上げた。冷蔵庫の中に、見知らぬ生首が入っていたのである。
「な、なな……!?」
Hは腰を抜かしてその場にへたり込んだ。
一体誰が……
なんのために……?
どうやって?
何も分からない。Hは混乱するばかりだった。生首に見覚えはなかった。生首は、一枚の紙を咥えていた。そこにはこう書かれていた。
『もし作中の中に一つだけ、現実と違わぬ真実があるとすれば……それは一体、何頁目だろうか?』