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変化、前進

今回は長いです。割と…。

 少年が目を覚ますと、横で少年が眠っているのを見つけました。

 少年は、微動だにしません。

 次第に少年の足を支える力が弱まっていきます。

「アブナイ!!」

 叫んだ誰かに支えられて、少年の意識はまた暗くなっていきました。






少年が目を覚ますと、そこは一つの部屋でした。部屋は、普通の部屋でした。

その部屋の中に物が何も置かれておらず、部屋の内装が全て白く、そこに窓や扉が一つも無いことを除けば。

「気がついたようだね」

後ろから声がして、少年が急いで振り返るとそこには部屋とは対照的な服、見つめていると意識を飲まれてしまいそうな黒色でその身を固めた青年が立っていました。

 なにかひっかかるその姿形に、少年は首をひねりました。

「貴方はいったい誰なんですか?いや、何なんですか?」

少年は、強気の口調で言いました。その青年からは生が感じられなかったのです。

 しかし、青年は口元だけ笑って言いました。

「確かにわたしは、誰という者ではないよ。んー、強いて言うならわたしは“死神”。少年の魂を次の世代に連れ逝く者だ」

「嘘だ!!!」

 少年は叫びました。死神なんているはずがない、先ほど見たのだって

「夢ではないですよ。少なくともここは、ね。」

 青年、否“死神”は少年が思った言葉の続きを紡ぎました。

「お前はいつもそうなんだよ。理論だけでしか物事を考えられずに、それ以外のことを全て否定しようとする。それだからみんな消えていってしまうんだ」

少年には、死神の言う言葉の意味が分かりませんでした。

 家族でもない赤の他人に自分のことを批評される、それは少年に一つの苦痛を与えました。それでも、

「俺は、死んでしまったのか・・・・・・・・・」

 少年は、先程の出来事を思い返しながら言いました。

 あの状況から、正直生きていられるとは少年には到底思えませんでした。

「そうでもあるし、そうでないとも言えるな」

 しかし返ってきた言葉は、謎掛けのような言葉でした。

「そこで、少年にはこの階段を登ってもらおう」

 突然の死神からの提案に少年は呆れてしまいました。

「そんな、何突然言い出すんですか?ここには階段どころか扉や窓の一つもないじゃないで・・・えっ!?」

 辺りを見渡した少年の目が驚きで見開かれました。

 その目線の先には壁などなく、白い空間が広がっていました。

 そして、ちょうど少年と死神の延長線上にこれまた白い階段が伸びていました。先はとても見えません。

「少年にはこの階段登っていってもらおう。ただし、一言も口を開いてはならない、何も口にしてはならない、それがルールだ」

 死神は、そう告げました。

「何故口なんですか?」

 少年は聞きました。

 その顔を見て死神はフッ、と笑いました。そして続けます。

「少年は、“口は災いの元”という言葉を知っているか?知っているよな。人間は、どんなにきれいごとを言っていても結局のところは自分が一番大事だ。そして、自分を守る為であるならば、平気で嘘をつこうとする。その嘘を庇うためにその人間はまた嘘をつき、そのせいでその人間はその人格そのものにうそをついていかなければいけなくなるのだ」


「だが、そこで生み出された嘘はどうなる?そこで生まれたのがこの階段なのだ。この階段は人間の“口”という器官に反応してその全てを呑み込んでしまう。分かるか?言葉というものは、感情もあって生きているんだよ!」

「呑まれてしまった魂はどうなってしまうのですか?地獄とか言うものに」

「その存在が消えてしまうんだよ、完全にな。そして、ただ痛みだけがある世界に送られてしまうとわたしは聞いている」


「そして、少年は1つ誤解をしている。少年は、地獄を悪いものとして扱っている。・・・まあ現世では情報が行き届いていないだろうし、そこから所詮入った考えだからしょうがないと言ってしまえばそれまでかもしれない。だが、それではいけない。少年、地獄も天国も元々一つの同じ場所なのだ。それを、そこらへんの宗教が二つに無理やり作り変えてしまったのだよ。そうでもなければ、我々死神がこの付近を担当しているはずが無かろうが。死神は、あくまで死者の引渡し、それが仕事だ」

 そう言うと死神は、少年が何か言う前にその姿を消してしまい、後には階段と少年だけが残されました。

 どうしようもなくなった少年は、溜め息を心の中で呟きながら階段へと足を踏み出しました。


ご意見ご感想良かったらお願いします。自分と糧となりますのでホント。

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