目には目を死には死を
受験のストレス発散のために何処かから犬をまた調達しなくちゃなんないな何て事を考えながら歩いていたら、道路上に人が立っているのに気がつきその人を避けようとしたら背後から口に布を押しつけられ意識を失う。
意識を取り戻した俺は素っ裸にされ天井や床から伸びる鎖で拘束されガラス張りの部屋の中にいた。
「ギャァァー!」
悲鳴が聞こえた右側に目を向けると鎖で手足を拘束された男が見え、その太股には矢が刺さっていた。
「止めて! 止めて! 助けて!」
左側からも哀願する声が聞こえそちらに目を向ける。
拘束された中学生くらいの男の子が刃物を手にした男に助けを求めていた。
「何だ? 此処」
「此処かい?」
背後から声を掛けられる。
振り返ると見覚えのある男が立っていた。
「あんた動物病院の院長」
「此処は私の病院の地下にある、動物達の怨みを晴らす為の場所だよ。
君は、虐待して河原に捨てられた飼い犬の怨みを晴らす為に此処に招待されたのだよ」
「あいつは勝手にいなくなったんだ!」
「勝手にいなくなった?
それは無理だ。
あの子は身体中の骨を砕かれていたのだ、動ける訳が無い」
「キャアー痛いー」
左側からの悲鳴にまた目を向ける。
男の子の耳が切り落とされていた。
切り落とした耳を指で摘まんでいる切り落とした男が男の子に声を掛ける。
「大丈夫、大丈夫、うちの先生はハムスターのように小さな動物の耳も繋げる事が出来る程の腕を持つ医師だから、この耳も繋げてもらえるよ。
もっとも人間に対する医療行為は違法だけどね」
俺の前に回り込んだ院長が話しかけて来た。
「あの中学生は隣町で起きた、多数の仔猫の手足や耳が切り落とされ焼き殺された事件の犯人だよ。
彼は此処で切り落とした耳や手足の数だけ耳や指を切り落とされるのだ。
切り落とす度に私が元に戻すから何度でもね」
続いて矢を身体に受けている男を指差す。
「こっちの男はね、去年の秋ごろから矢が突き刺さった白鳥や鳩が見つかっている事件の犯人だ。
鳥達に突き刺した矢の数だけ身体に矢を受けてもらう。
さて、こちらも始めようか」
そう言って木刀を大きく振りかぶった。