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第六話

 相手が怯んだと思ったら投げ技を俺の次に出す必殺技より早く入力されて、俺のキャラクターを投げてダメージを与えた。

「しまった!」

 通常の投げ技なら俺の出すはずだった必殺技より早く入力できるが、ゼルダはコマンド

入力がやや複雑な特殊投げ技をまるで通常の投げ技を出す感覚と同じ時間で行った。

 これはゼルダが使うキャラクターの特殊な投げ技でもあり必殺技の1つだ。

 入力の難しい方の必殺技の1つであるその特殊投げ技が、普通の投げ技よりも威力が大きい。

「こんなことが偶然でできるはずはない、コマンド入力の早さからして人間やめているんじゃねぇのか?」

 そんな事を言っている間に俺のキャラクターが起き上がる。

 このまま必殺技を近距離で連発されるわけにはいかない。

 ゼルダのキャラは接近戦に使われる必殺技などのコマンド入力がやや難しい。

 だがあのコマンド入力の早さでは中パンチと同じ時間で出来るだろう。

 それなら遠くにいって飛び道具技すなわち弾撃ちして、こっちの勝機が生まれるまで待ち続けて弾撃ちするしかない。

 ジャンプして距離をとったら、弾撃ちコマンドを素早くできるかぎり同じ早さで連続して入力して弾撃ちをする。

(ここから接近させなくする。それなら勝てる)

 弾撃ちや必殺技などは基本的に俺の使うキャラクターでは簡単なコマンド入力なので、

普通の人より早い入力スピードで必殺技が出せる。

 簡単なコマンドといっても中級者の使うレベルのコマンド入力だ。

 実際に早く弾撃ちのコマンド入力は出来ていたし、ほぼ同じ速度で入力し続けている。

 そして相手は元々接近しない限り、遠距離技はないし、弾撃ちもない。

 そのためゼルダのキャラは接近戦だと、それらを無くした代わりにダメージが大きい。

 大丈夫だ、仮に相手に弾撃ちがあったとしても、根拠はないが弾撃ちでは俺の方が上手い。

 同キャラ対戦でも勝てる自信が若干だが、ある気がした。

 こういう格上の相手がいる時は相手のキャラクターの性能を見て戦い方を変えればいい。

 相手は俺の入力する弾撃ちをジャンプしたり、ブロッキングしたりしながらじわじわと近づいてくる。

 後ろに下がりながら弾撃ちを繰り返していたら、いつの間にか壁に追い込まれてもう遠くにいけない場所に俺のキャラクターはいた。

 弾撃ちがダメなら危険が伴うが、懐に飛び込んで必殺技をだすしかない。

 (やばいっ! 相手が近づいてきた。投げ技に注意して接近戦をしなきゃいけない)

 相手は投げ技で絶対に来るはずだから、その前に必殺技コマンドを早く入力しなければいけない。

 1フレームの差が勝敗を決める。

 1フレームとは60分の1秒のことで、この普通は気にしないであろう短すぎるとも思える時間差が上級者同士の戦いでは勝敗を左右することがある。

 昔の格闘ゲームからあるこの1フレームの差で隙が生まれ、そこを攻撃するのが勝利への一歩とも言えるだろう。

 当時俺は読み合いが上手くなった自称格闘ゲーム中級者の頃から、その1フレームの差という一瞬が重要であることに気づいていた。

 その1フレームの差による勝敗の分かれ目の大事さは解っていたし、発見できればなんてことはない。

 そう……1フレームだけほんのわずかな時間に……ゼルダの早い入力スピードよりも行動を先読みして、必殺技コマンドを素早く入力する。

(ここだっ!)

 そう思った先にタイミングよくコマンド入力して必殺技を出したら、相手がダウンしたので上手くいった。

(よし、いいぞ。良い展開だ)

 入力は遅れた気もしたが、相手の必殺技入力コマンドが集中力が切れたのかわずかに遅くなっている気がする。

 おまけにこっちのゲージが溜まったので、相手にとっては超必殺技(アルティメット)を喰らうと危険だと言うプレッシャーにもなる。

 そう超必殺技(アルティメット)をいつ出されて負けるか解らないという不安が出てくるだろう。

 つまり相手プレイヤーの心理的に恐れを抱いて、結果として慎重になって守りに入って自分から攻撃をする確率が減る。

 そう思うと一瞬だが、緊張がほぐれて肩の力が抜けた。

(見てろよ、超必殺技であるアルティメットを使わないまま倒してやる)

 相手のゲージは8割近く溜まっているが、出来ることと言ったらゲージ消費の威力上げの必殺技くらいだ。

 相手のゲージは8割近くだから、今後ゲージが満タンになってもおかしくない状況だ。

「ゲージが満タンになる前に倒さないと負けるなこりゃ」

 本音がぼそりと口に出る。

 だけどこのままいけば勝てる。

 アーケードコントローラーを持つ手の震えが、今は止まって冷静さを取り戻す。


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