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第四十五話

 星井岳のキャラクターがジャンプしてこっちに近づくと、着地と同時に中パンチをするがブロッキングする。

 星井岳のキャラクターが一歩引いて、こっちがダッシュで近づくと下蹴りを当てられて素早い早さで入力された必殺技を喰らう。

(むこうは必死だな。追い込まれると強くなるタイプか)

 そのまま近づいてきたので、起き上がりにしゃがみ弱パンチを当てる。

 怯んだ所を投げ技で地面に星井岳のキャラクターをダウンさせる。

 星井岳の体力は残り1割だ。

 星井岳のキャラクターが起き上がると俺のキャラクターに下蹴りと中キック、遠距離弾打ちをコンボで喰らう。

 地上戦は手加減している俺と互角かもな。

 だけどこれが決まれば勝ちだ。

 こっちのゲージが全部溜まったので、起き上がりと同時に弱パンチを浴びせて怯んだ所を超必殺技(アルティメット)を素早く入力して倒した。

「見たかよ! まさかの超必殺技(アルティメット)のフィニッシュだ!」

 星井岳のキャラクターの体力は0になり、また勝つ。

 2ラウンドを勝ちで抑えたので試合は終わる。

「吾輩が負けただと!」

 星井岳が台から離れて座っている俺の方に移動する。

「勘違いするなよ、今日は調子が悪かっただけだからな。吾輩のシマではこんな試合ノーカンだからな。覚えておけよ」

 こっちが言い返す前に星井岳はそう言って早足で会場の外に出て行く。

(小物っぽい奴だな。だけど今ので俺は手加減しても、全国に通じるということが解った)

 周りのギャラリーが拍手する。

 俺が椅子から立ち上がり、各地の代表を見るとみんな俺を見て怯えていた。

 やはり、こいつらは弱い。

 敵はカルロのみ。

『油断するな』

「黙ってろ」

 俺はこの時『声』に反抗した。

 意識よりも行動が先。

 この『声』を聞く暇もない。

 行動を先に出せばいい。

 そうだ、今気づいた。

 この『声』はもう一人のゲームに本気になっている時の、そう迷っている時に出る俺の『弱音』だと気づいた。

 もう聞くこともない。

 分かってしまえば、どうということもない。

 俺は奥の選手席に座り、全員の戦いを見ていた。



 俺の番が回ってくるまでの対戦動画で確信できた。

 やはりこいつらは弱い。

 今は俺とカルロが上にいる。

 やはり敵はただ一人、カルロのみ。

 それから俺は各地の代表相手に1、2ラウンド目にわざと負けて勝てるラウンドはギリギリのラインで勝てるようにした。

 真剣になりながらも遊んでいた。

 そうカルロが気づかないように、わざと負けを繰り返したり、間違いを起こしたりして勝っていった。

 最後の大阪代表を倒して、カルロとの試合に入る前に休憩が入った。

 なんてことはない八分ほどの休憩時間だ。

 その間にスタッフが最終専用のメンテナンスをしていた。

 会場が熱気にあふれていた。

 そんな時だった。

「イチゴタイショウ」

 カルロが座っている俺の席に歩いてきた。

 そして100円玉を出した。

「イツカ ノ フランクフルト ダイ ノ ノコリ ダ。 ウケトレ」

 いつかの?

 そうか、お前と俺が初めて会った時のあのお金か。

 今は勝負の感情が抜けきらなかった。

 貰えば負ける。

 理論や根拠はないが、直感でそんな気がした。

「要らねえよ。その代わり同じキャラで勝負するな。得意なキャラで来い」

「イイノカ? カツ ゾ ワタシ ガ」

「いいぜ、別に」

 そう言うとカルロは俺から離れて、選手席に座った。


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