ええーー…
「死ねええええええッ!!!!!!」
ツルピカ禿頭のごつい盗賊が、そんな声を上げて手斧を投げ飛ばした。
「……っ!?」
石をセレクト―4つ。
選び取ったその四つを一気に、しかし順々に狙って投げつける。
コンッ、ギ、ゴ、ガチッ!!
鉄の塊で在る斧に対して、小石程度ではどうしても重さに欠ける。
ので、数でせめてみたのだけれど…うん、上手くいったみたいだ。
「な、っ!?」
「何者だっ!!」
盗賊連中が慌てて馬の歩みをその場で止めて……ニヤリ。
更に袋の中から石ころを選んで、それを先頭の盗賊の乗った馬の、その脳天へと、馬が気絶しない程度…けれど、確実に痛がるレベルに調節して投げつけた。
ゴッ
「ブルウウヒイイイイイイイインンンン!!!!????」
「の、おうわああっ!!??」
石を当てられた馬は、そんな鳴き声を上げて、後ろ足で立ち上がり。
当然そんな体勢をされては乗り手の盗賊は振り落とされて。
そのまま馬にもう一つ石を投げる。途端、わけも解らず与えられる痛みに大暴れしだす盗賊の乗馬。
此方も隠れているとは言え、そろそろ相手側も此方を発見しそうな物なのだが…。
まぁ、それよりは此方が早いか。
盗賊周囲に石を投げつけ、それを恐れた馬は勝手に少しずつ後ろへ下がって。
「お、おいっ!?」
そんな馬達に言う事を聞かせようとするが、どうやら馬の方は訓練を受けたような馬ではなく、何処にでもいる普通の乗用馬らしく、攻撃を受けても平然としていられるような度胸の在る…所謂軍馬とかではなさそうで。
結果として盗賊一団は、その意志と関係無しに一点で密集してしまって。
「それじゃ、最後の一押し」
投擲。
散々脅かされて、パニックに陥っていた先頭の馬。
最後に、かなり力を込めて投げつけた岩が地面を陥没させて。
「ブルウウヒイイイイイイィィィィンンンンッッッ!!???」
馬、絶叫。
悲鳴を上げて後方へと駆け出す馬。
「え、おわっ!?」
「おま、おすなっ!!」
「うおおおおおおおおおっ!?!?」
密集している地域で、一匹の馬が暴れだして。
結果、その一匹の錯乱は、全体の恐慌と成って盗賊一団をパニックへと陥れていた。
「おーい、こっちこっち」
そんな光景にニヤニヤしつつ、木陰から顔を出して追われていたほうの人影へと声を掛ける。
きょろきょろと周囲を見回していたその影は、此方を見つけると大急ぎで駆け寄ってきて。
「あ、ありがとうございますっ!!」
「礼は後回しだな。とりあえず、アッチの方角に町が在るから、其処まで逃げ込むぞ」
「は、はいっ!」と返事をする其の小さな子の手を掴んで、一気に駆け出す。
大勢に正面から挑むなどと言うのは愚考でしかない。
目的が在るのなら、よりスマートに事を済ませるほうが良いに決まっている。
フヒヒ…もとい、ニヤニヤしながら一気に町まで駆け戻ったのだった。
「有難うございました。ボクは、ロイ・カークラウンド。ロイって呼んでくださって結構です」
町に到着して、先ずはじめに其の小さな子が言ったのは、そんな一言だった。
……ん? 今、何か色々失敗したような感じが……、あれ?
「……君、男の子?」
「はい。……見て解りませんか?」
金髪碧眼。可愛らしい顔立ちで、身長は150センチ中盤。
こげ茶色のローブに身を包んだその姿は、その辺の女性と比べても遜色ない。
「……うっわぁ………」
やってしまった。
イベントで、とはいえ、…なぜ『男の子』なんでしょうか。
こういう時って、普通美少女とめぐり合うもんじゃないんですか!?
嗚呼、我が神よっ!! 英語で言うとOh,My GOD!!
野郎イベントですかっ!? mjdk!?…orz
「…あの?」
頭を抱えて苦悩する俺のその隣で。
その少年…ロイは、おろおろと心配そうな目でこちらを見ているのだった。
「Machina&Magic」のほうばっかり書いていたために少し更新が遅れました。
こっちも頑張ってポツポツ更新しますんで、読んでくれてる皆さん、有難うございますっ!!