まっ金↓スペクタクル!
タイトル調子乗りました。でも反省はして(ry
「ふぅむ………ならば、この町に少し滞在せねばならんかな……」
クルストへの旅路、その三日目。
立ち寄った小さな町で、ダニエルさんは宿に尋ねてきた在中の騎士と相談しあった後、そんなことを呟いていた。
「何かあったんですか?」
「ああ、まぁ少し。すまないけどケントくん、また少し時間を貰う事になってしまうよ…」
そう言ってダニエルさんは頭を下げる。
「あ、おけ…大丈夫です。特に急ぐ旅と言うわけでもないので」
行き当たりばったりの旅路だ。
ゆっくりでもいいから、確実に案内してくれるダニエルさんはありがたい。
「一応、小銭をいくらか渡しておくよ。何かあったらこれを使う事」
そう言ってダニエルさんは銅貨を数十枚渡してくれた。
「いいんですか?」
「ああ。お小遣いだと思って取っておいてくれ」
遠慮するべきだったとは思うのだが、しかし今の俺の懐は実質ゼロ円。
そもそも、俺はこの世界の通貨自体を知らないのだ。
所持金は在ったほうが良いに決まっている。
ありがたくそれを頂戴して、お礼を述べて。
「お仕事頑張ってください」
言って、ダニエルさんを見送る。
熟練兵士出撃の朝だった。
「さぁて」
それじゃぁ、俺もそろそろお仕事に取り掛かろうか。
目的地は昨日の晩に把握している。
宿を出て、大通りに沿って直進。抜けた先に在る広場の中心。そこにある掲示板こそが俺の目的の品だ。
「おぉ、あったあった」
日雇い募集掲示板。通称“クエスト掲示板”は、都心から離れた村や町には大抵在るものなのだとか。
内容は要するに、日雇いの依頼を貼り付けてある掲示板と言うだけ。
受注するなら、張られた紙を持って、指定された場所へ行けばいいとのこと。
都心のほうに行くと、ギルドカウンターでの受注がメインとなるらしいのだが、こういう都市から外れたところだと、態々ギルドカウンターを通すよりも、朝一の掲示板から依頼を抜いていったほうが早いのだとか。
「…さて、何か依頼はあるかな……っと」
朝一。そう、本来ならこの掲示板が解禁されるのは朝一番。
今は日が昇って暫くたつし、もう朝一番とは到底言える時間ではない。
残っていれば儲け物。その程度の感覚で訪れたのだが。
「――お、討伐クエストが」
其処に記されていたのは、近場の山の麓に出現するウルフ11匹の討伐とか。
……まぁ、出来なくはないだろう。
依頼主は領主で、報酬は金貨20枚。
金貨が一万円と同等ぐらいの価値があったはずだから………これはいい感じだ。
「……よし、これに決めたっ!」
張り紙をびりっ! これで、この依頼は俺の受注となった。