表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

その弓が欲したモノ

作者: すとらいふ

 男は弓の名手だった。彼は猟師で、その腕前は国一番だった。


 彼の放つ矢はどんなに足の速い獣も射ぬき、山ひとつ向こうの獲物すらも仕留めた。


 男の手にはいつも愛用の弓が握られており、片時も手放さなかった。 


 その弓は彼が産まれた時に植えられたイチイの木から作られたという。









 いつからか、山に人食いの化物が現れて次々と人を襲っていった。


 国は化物を退治するために勇者を募ったが、化物は手強く皆返り討ちにあってしまった。


 誰もが敵わないと思った化物に、男は愛用の弓を片手に一人で立ち向かう。


 彼の放った矢は化物を見事に射殺し、彼こそは真の勇者だと国中から讃えられた。









 そんなある日、平和な男の村が山賊に襲われてしまった。


 男は弓で奮戦し、山賊の頭領を追い詰めるも一人の娘が人質されてしまう。


 その娘は男が片想いを寄せる相手で、彼は娘を助けるために頭領だけを自慢の弓で射ろうとする。


 しかし何故か矢は娘に当たり、死んでしまう。男は怒り、嘆き、その場にいた山賊も村人も全員殺してしまった。









 それ以来、狂人と恐れられた男に近づくものはいなくなった。


 男は孤独に生き、ただいつものようにその手に握られた弓を射る。


 噂では、男の死体が森の中で見つかったという。


 どのように死んだのかは分からないが、愛用の弓の弦が男の体に巻き付いて離れなかったという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ショートストーリですが、 惹き込まれるものはありますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ