3話
戦闘シーンが入ります。
「おい。着いたぞ。」
しばらく経つと馬車は何もない雑木林で止まった。あたりは夜にさしかかっており、少しうす暗い。
ソウ達はそのまま馬車から降ろされそのまま誘導されると、林の所々に設置してあるテントの方へと向かった。
数あるテントの一番奥へと行かされると、入口に兵士が立っているテントの中へ入らされた。
中に入ってみると、豪華な机や棚があり奥には天井付きのベットが置いてあった。壁には肉食猛獣だと思うが大きい毛皮が飾っていて、机の後ろには宝石の付いた剣が飾ってある。
入口に兵士が立っているからここは一番偉い人だと想像は出来るが、部屋中にアルコールの匂いが充満していて少し気持ちが悪い。
「横に並べ。」
横一列に並ばされると、他の兵士より派手な装飾や上等なそうな軍服をきた小太りな男が座って
いた。周りにいる兵士は、薄い水色で装飾品がない服を着ているが目の前にいる男は色鮮やかな赤い軍服で肩や胸には金色と綺麗な宝石が付いた飾りをしている。
この男が、隊長であると思うが周りがピリピリとしているのにも関わらず優雅に酒を飲んでいた。
「隊長、新しい兵士希望の者たちです。」
「そうか…御苦労、カルロス兵士。この新兵卒に明日の戦いの説明をしておけ」
「はっ!失礼いたします。」
そう言って、ソウ達を連れてきた兵士―カルロスが、すぐさまテント外へと連れ出した。
アルコールが充満した部屋から出られたことにソウはほっと安心をしたが、今度は銃器類が山になっている所へと移動させられた。
カルロス兵士はそのまま銃器の山の所から先に刃が付いてある拳銃を6丁取り出し一人一人にわたし、銃器の上にまた違う兵士が、紺色の軍服を置きはじめる。
「明朝にここを出発し、王都に向かう。途中、戦闘区域近くまで行く可能性があるため、油断はするな。場合によっては戦闘する可能性がある。」
カルロス兵士はそう言うと、銃器の山から移動し今度はテントへと移動した。
「ここが、お前達の寝どこだ。今夜はここで寝るように。だだし、奇襲される可能性もあるいつでも戦闘できるような状態にしろ。」
そう言って、カルロス兵士は去って行った。残された6人はとりあえず、一人ずつテントの中に入ると、テントの中は寝どこも何も置いてなく上にランプがあるだけだった。
ソウは渡された軍服を服の上から着て、銃器を近くに置くとまた隅に座った。
早く寝ようかと思ったが、ほとんど馬車に揺られていたので体に疲れとこれからの不安な気持ちで眠ることが出来なかった。
他の子もソウと同じように隅に座ったり、寝てしまおうと体を丸めていたりはしていたが寝てはいない。
「ねぇ、お前の名前は?」
「えっ。」
いきなり声を掛けられて、少し驚いた表情で顔を向けると、昼間馬車で会話をした少年がいた。
「あぁ。急にごめんよ。名前聞いてなかったから、俺の名はイース、イース・ワンダ。お前は?」
「ソウ・キサラギ。」
「ソウ・キサラギかぁ…。ソウって呼んでいいか?俺はイースって呼んでくれ。」
「うん。」
不安でいっぱいだった心が少し暖かくなってきた。
それから、お互いの事を話し始めた。
イースは、4人兄弟の長男で妹が一人、弟が二人いるらしい。
小さいことから畑の手伝いをしているため、体力には自信があるが勉強が苦手で細かいことが苦手だと話していた。
反対に下の妹はしっかり者で勉強が出来るので、良く怒られていたらしい。
「……で、親父が戦死した後、お金が入らなくなったから俺が傭兵になっていっぱい稼いで皆を幸せにしたいと思っているんだ。」
そう言って笑顔を見せるイース。
家族の為にか・・・すこし、うらやましかった。
「ソウは?」
「僕は孤児だから…そのまま徴兵になることは決まっていたし…」
幼いころから毎年ずっと見てきた孤児院にいたお兄ちゃん達が16歳になって兵士の人と一緒にいく背中姿を。
振り向かず背中をまるめていくお兄ちゃんや振り向いて無理に笑顔を出してくれるお兄ちゃんもいた。
ソウはその姿を見るたびに思ってしまう。いつか自分もそうなるだようと…
「なんか、ごめんな?俺はみんな自分から志願したみたいだなんて思っていたから…つい…」
「僕はイースがすごいって思うよ。しっかり自分で思ったことを言って」
「そっそうか?」
******
しばらく二人で話しているとソウ達以外の子供が寝始めたので、二人も寝ようとした時、爆発音が聞こえた。
「なんだ!今のは!」
「アスト軍からの襲撃です!」
「被害は!」
「第一守備部隊、半数やられました!」
外で火がともされ、次々と武器を持った兵士がテントから出てくる。
ソウとイースはそっと外をのぞくと、大砲を持ち運んだりしていて、ソウ達のテントへと来る者はいなかった。
「敵の進行が早いです。もうすぐこちらへ来るかと」
「戦闘準備をしておけ」
空気が痛い。
手の震えが止まらない。
左手には渡された銃器を持っているが手の震えで武器までもが震えている。
「外に出よう。」
イースに言われ一緒に外へと出ると、大砲が横一列に並び銃口の向きが暗い林に向けられた状態となっていた。
大砲の後ろには銃を持った兵士が構えていてまたその後ろには剣を持った兵士が待機を下いる。
その兵士たちの集団のさらに後方には、二人の兵士を前に立たせその後ろにはさっき会ったこの部隊の隊長が椅子に座っている。
「私の部隊に襲撃してくるとは、よほどの自信があるようだ。」
そう言って、椅子に座ったまま顎鬚をさすり、体を反りかえる。
「やっぱ、すげーな。きっと敵をあっという間に倒しちゃうんだぜ。」
「………。」
少し興奮気味のイースとは違い、ソウは森が静かな事に違和感を覚える。
この先に敵がいると思うはずなのに、誰ひとりとして気配が感じられない。
まるで、一人相撲をしているかのような感じだ。
「隊長!周りに敵はいません!」
「やはり、敵もこの部隊を見て、恐れをなしたか。」
違う……。
笑いながらあの隊長は言うがソウは、空に何かを感じていた。どのように説明したらよいのか。
殺気?気配?いや…、野生のカンと言った方が分かりやすい。
「---------来る。」
突然、暗い空からすごい速さで赤い火の球が降ってきた。
林の方に向いていた兵士達は上からの攻撃に気付くことなく火の球を受ける。
「ギャァァァアアーーー!!」
「熱いっ!!あああぁぁぁーーー!」
断末魔の叫び声が聞こえる。
火の球を体に受けてしまった兵士は体が燃え上がり、周りに助けを求めても周りはどうすることもできず、体中が燃え尽きるまで叫び続けている。
「精霊付きだ!」
前衛にいた兵士が叫ぶ。
その言葉に周りの兵士達は精霊付きに恐れをなして皆一目散に逃げ出そうとした。
後ろにいた隊長も椅子から立ち上がったまま、ただ茫然と立ち尽くしている。
「そんな馬鹿な…………。精霊付きが出てくるなんて……。」