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蒼き星の守護者 ~星を救う英雄と英雄を殺す少女の物語~  作者: りの
ウィル編 第二章 外伝 ~クラウとフェルナ~
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—04— 噴水

 この城下町の用水路には山から引いてきた生活用水が流れる用水路の他に、手漕ぎ船の水路に用いられる用水路が主なものとして存在する。後者はその主な役割の他に、街を飾るための花や噴水に供給され美しい街並みの維持に一役買っている。今歩いている用水路の両脇にはブルメリア王国全土から集められた四季折々の花が常に咲いており、更にその外側には木と煉瓦で作られた端正な住宅がずらりと並んでいる。今二人が歩いている場所は居住区と呼ばれ、貴族や王族の住む中央区の外側に位置するが、今いる場所は居住区の中でも特に中央区に近い位置にあるため比較的裕福な商人などが暮らしている。


 フェルナは自分が住んでいるところとはまるで別の世界に思える景色に目を奪われていた。煉瓦作りの家や道、夜には街を照らすであろうオーパーツ仕掛けの決して強風で消えることのない街灯、そして下の用水路や船を見ることができる全てが硝子で作られた透明な橋など歩くたびにフェルナの心が奪われていった。いつかこんなところに住んでみたいな――そんなことを思いながら歩いているとやがて巨大な噴水のある広場にたどり着いた。


「これを見せたかったんだ。とても綺麗だろう?」


「うわあ・・・!」


 フェルナが見上げるとそこには周囲の建物より高く吹き上がる水が光の雫となって降り注ぐ幻想的な景色があった。フェルナはその光の雫を掴むかのように天に向かってその手をかざした。


「とても綺麗・・・こんな噴水見たことない・・・」


「喜んでくれたようで良かった。これは遺跡から発掘された地下水を汲み上げることのできるオーパーツをいくつも使っているんだ」


 クラウの言葉がフェルナに届いたのかわからないが、フェルナは陽の光と水の雫が魅せてくれる幻想的な光景をただただ眺めていた。周囲に舞う光の雫はやがてフェルナの肌に優しくあたって消え、心地よい涼しさを与えてくれていた。クラウとフェルナは光の雫に囲まれながらしばらくたわいもない話をした。


「ところでフェルナ、最近君の家の周りで何か変わったことは無かったかい?集会が行なわれているとか、見たことのない人が出入りしているとか」


「いえ、そんなことはなかったですけど・・・それがどうかしたんですか?」


「・・・いや、気にしないでくれ。また何か変わったことがあったら僕に教えて欲しい」


「わかりました」


 フェルナはクラウのいつもと違う様子が少し気になったが、特に深く詮索しないことにした。そしてまたたわいもない話を繰り返して笑い合っていたが、時間が結構経ってしまっていたので今日はそろそろ切り上げて帰ることにした。クラウがフェルナをいつも待ち合わせしている門の前まで送るその帰り道のこと、クラウの友達らしき三人の男の子が話しかけてきた。

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