—10— エピローグ
【前回までのあらすじ】
外で待たせていたラスと合流しようとしたウィル達だったが、ラスが敵に捕まって人質にされてしまう。グリンデュア達も合流し追い詰められたウィルは古代魔法を解放し、グリンデュア含む闇ギルドと戦うも終始圧倒し、闇ギルドを壊滅させる。後処理をラスとメルトの顔見知りの王国騎士団員であるリアガンに任せたウィル達は無事にシャムロックに戻る。そして宿泊先を決めてなかったウィルは一晩だけラス達のお世話になることにした。
翌朝、ウィルは外から聞こえる騒々しい音で目を覚ました。なんだろうと思って服を着替えて下に降りていってみると、早速昨日の出来事が街中に公開され、そのことを聞きつけた街中の人がギルドに依頼をしたいと押し寄せていた。ウィルより先に起きていたラスとメルトはそんな人達の対応に追われていた。
「ラスさん、メルト、おはようございます!なんだかすごいことになってますね」
「リアガンさんったら、お前達の活躍が嬉しくて張り切ってしまったとかいって街中に昨日のことを触れて回ったんだそうです。そしたらこんなことになってしまいまして……」
「ほんとだよ!この人達もいつもだったら全然依頼なんてしてくれないくせに!急に手のひら返しちゃってさー!」
こんなことになる原因を作ったリアガンと急に態度を変えた街中の人になんだかラスとメルトは怒っていた。
「はは、良かったじゃないですか!これならギルドやめなくてすみそうですね。」
「ウィルさん……本当にありがとうございます」
「それじゃあ俺はこれで失礼します。ラスさんのおかげでディガーの技能検定も取れたし、また仕事を探しながらいろいろと遺跡を巡ってみたいと思います」
これ以上ラス達の世話になるのは悪いと思い、シャムロックを出ていこうとした。しかし、ラスはそれを呼び止めた。
「あの、ウィルさんのおかげでなんとかギルドは続けられそうなのですが、……あの、その……人手が足りてないのでもしウィルさんさえよければなんですが……、私達のギルドに入っていただけませんか……?」
ラスなりに必死にウィルにここにいて欲しいという思いを伝えたかったようだ。ウィルは今後の事も考え少しの間悩んだ。しかし、この街に滞在するのも悪くないと思ったウィルは
「ラスさん達さえよければお願いします」
と返した。もし断られたらどうしようと思っていたラスはその返事に表情を明るくした。
「これからよろしくね、”ウィル”!」
「よろしくお願いします、ラスさん」
その言葉に先程まで明るかったラスの表情が若干曇った。
「メルトのことはメルトっていうのに私だけさん付けするんですね」
なぜかわからないがラスは拗ねているようだった。その言葉にウィルは困ったような表情を浮かべたが、その後すぐに笑顔で言った。
「これからよろしく、”ラス”」
その言葉にラスは表情をぱぁっと明るくした。すると一人で依頼の対応をしていたメルトがしびれを切らしたのかウィルとラスに向かって叫んだ。
「ちょっと二人共こっち手伝ってよー!」
こうして今日もこの街に小さな幸せが一つ増えた。