加奈救出! その一
遅れてすみません。次回は「新学期始まりました地獄が始まる」九月の第一土曜日にやります。
色々な目撃情報を頼りに頼りにならない俺の頭をフル回転し、何とか徒歩二十分ぐらいの商店街に紗枝さん、佐藤美咲さん(みさちん)とその他もろもろと俺はたどり着いた。
ところがこの商店街というものは閉まってる店も多いし、店の二階部分にはツタが絡まっている部分もあるし、窓も閉め切っているし、肝試しに適切なスポットとして雑誌とかに掲載されそうだ。
恐怖でしかないよこんなの怖い怖い。
商店街には古本屋や駄菓子屋等が並んでいる。ここも昔はこんな寂れた商店街じゃなかったのか、と思うと涙が出てくる。
「紗枝、立ち止まって何見てんの?」
美咲さんは古本屋の前で立ち止まる紗枝さんを呼んだ。
「一体どうしたのよ」
美咲さんは紗枝さんの後ろに立って紗枝さんの視線の先を見てみる。
「ん…。なぁ紗枝、これって、有名な文豪が書いた本じゃねぇか。そんな本見てどうした紗枝」
「もったいないなぁ」
「は?」
いきなりのもったいないなぁ発言に、美咲さんはきょとんとした。
「だって、こんな素晴らしい本を日光の当たる所に放置するなんて古本屋の人間がすることじゃないね!」
熱く語る紗枝さん。
「そうよね、あんたは文豪をこよなく愛しているわよね…。あんたの部屋には文豪の本だらけってことを忘れていたわ」
美咲さんは呆れる。
「っていうか本題本題! 加奈を救出しなきゃ!」
ズレる原因を作った紗枝さんが大声を出した。
数分歩いて花火大会は終わりを迎えますさぁ感動フィナーレを! という時間帯になった頃、か細い声がした。
「…やっぱりさ、…だよなー」
誰の声?
声のする方向に出向いてみる。
そこにいたのは。
「加奈!」
加奈と変な容姿のおっさんの集団がいた。
いつの間にかブックマーク登録してくれた人がいました。ありがとう!