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小学生の恋物語。  作者: けふまろ
大晦日
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大晦日と桜花の妹。

 新年が明けた。

 今日は地方から上京してきて、都内に住む祖父母の家でおせちを食べる。

 同時に、第二児誕生の予感ニュースも話すと、両親共々ワクワクであった。

 20XX年1月1日。

 新年の幕開けだ。


   ◆◇


 今は12月31日。大晦日。紅白歌合戦を録画してお爺ちゃんの家へ。

 母方の祖父母宅は、古きよき日本家屋。お屋敷と言うのがピッタリで、立派な門がそびえ立っている。

 その門の前で、腕を組みながら待っている頑固者で有名だったお爺ちゃん。その横に、小さい頃から大和撫子だったというお婆ちゃんの姿。

 凹凸な二人でよく院長やら弁護士が務まるものである。

「こんにちは、お爺さん。今日から一泊二日、宜しくお願いします」

「うむ。君は、確か、創平(そうへい)君だったよな。これからも桜花を宜しく頼む」

 お爺ちゃんは険しい顔付きで言う。お父さんは、「はい」と頷いた。

「お爺ちゃん、おはようございます」

 俺はお辞儀する。すると途端にお爺ちゃんは笑顔になり、俺の頭を撫でた。

「うむ、想太は偉い奴だ。ちゃんと挨拶出来ている。よし、桜花は…」

 お爺ちゃんは俺の方から母親の方へと向き直った。

「ちゃんと挨拶しないか!」

 母親はキャリーバッグを転がして、会釈した。

「挨拶がなっとらん!」

「なってます。何たって父さんは孫ばっか褒めるかね~」

 髪をいじりながら溜息をつく母親。お爺ちゃんは「昔っからそうだったけど、髪いじるのやめなさい」と落ち着いて言った。

「何だよ…。めんどくさい…。……あ、そういえば、母さん」

 母親は髪をいじっていた人差し指をしまい込んで、お婆ちゃんに尋ねた。

「何? 桜花」


陽彩(ひいろ)は、どうしたの? まだ結婚出来ない?」

「陽彩…。まだ、結婚相手は見付からないそうよ」


 急に、その場が深刻な雰囲気になった。

 陽彩さんは、確か、母親の妹だ。

 前に、母親とお婆ちゃんが電話で話していたのを思い出す。

 俺も前に、陽彩さんと遊んだときがあった。

 姉妹というほど顔が似てなかったが、陽彩さんは穏やかで優しい、綺麗な人だったのを思い出す。ただ変に自己主張が強かった。

 小学校の頃は、些細な事では皆の意見に合わせるのに、学期末のお楽しみ会では「宝探しやりたい!」と自己主張しすぎて皆から自己中だと嫌われていたらしい。


「今もまだ自分の部屋に篭ったきり出てこないのよ。トイレ行くときも必ずと言っていいほどフードを被って行ってるわ。そんなみっともない格好するのはやめなさいってお父さんが言っても、無視するばかりでね」


 お婆ちゃんは困ったと言う風に母親に話した。

「半年前までは、「大丈夫だよ結婚なんて」って言ってたのに、いつの間にか自信なくなったって言って、家族にまで顔を見せず仕舞いよ。夕食はいつもお盆に乗せてあの子の部屋の前に置いてるの」

 母親は、困ったと言うような顔をした。何で困っている顔をしてたのか、何となく分かる。結婚出来ない陽彩さんの話をしているときに第二児誕生の予感とか言えるわけがない。


「一体どうしちゃったのかしらね。部屋の前を通っても、ジャニーズ…?が出てくるテレビ番組の音が聞こえるもの」

 悲しそうにうな垂れるお婆ちゃんを見て、可哀想に思えてきた。陽彩さん、ジャニーズとかそういう系の出会いなんて多分ないよ。親孝行しろよ、と思う。

「もうその年じゃないのにね…ってよく思うけど、夢見たいお年頃なのかしらね」

「母さんもうその期間はとっくのとうに過ぎてるわよ」

 母親はこの寒いのに冷や汗を垂らしながら言った。


「とりあえず、家に入ってから話す。…あと、何か言いたそうだな。話を聞くぞ」

 

 お爺ちゃんは何故か言いたい事が分かった様子で、家に招き入れた。

 陽彩って名前、変だって?

 まぁいいじゃないか。

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