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小学生の恋物語。  作者: けふまろ
クリスマス
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女子の電話。

 今日はクリスマス本番である。

 クリスマスツリーを飾らない我が家にとっては、クリスマスイブを過ぎるとクリスマスというイメージを失うものである。去年までは。

 でも今年は違う。遥君が所有するデパートで想太とデートするのだ。と言っても何すれば良いのか分からんけど。


 私は部屋に入って本棚を見る。

 そこに置いてある、写真立てが目に入った。

 確か去年の冬、寒空に身を寄せ合いながら、通りすがりの人に撮ってもらった写真だった。

 

 ふとその写真立てを手にとる。

 その写真の中で、兄が私の首に手を回して、ピースしていて、両親が肩をくっ付けて笑っている。

 その笑顔に、私は微笑みながら、写真立てを本棚に戻した。

 私は、換気のために、窓を開けようとカーテンを開く。

 そして、目の前の光景に、目を輝かせた。


「雪だ!」

 

 雪が、積もっている。

 近所の人が、雪かきをしている。寒気が舞い込んでくる。

 幸い雪は降ってはいない。辺り一面が雪一色で埋め尽くされている。

「綺麗だな~」

 こんな日に想太とデート…もとい遊びに行くのだ。

 確か遥君のデパートには中庭もあるので、そこに雪が積もっているはずだ。

 楽しみだなぁ、と胸躍らせていると、途端に電話が鳴った。


「はい。加奈ですけど」

 私はスマホを手に取る。

『加奈ちゃん! 私! 清香!』

 久しぶりに聞く、清香さんの声。その声がいかにも楽しそうだ。萩尾と遊んでいるのだろうか。

「どうしたの? 清香さん」

『昨日ね、昨日ね、萩尾と一緒に広場に行ったの! 噴水の水がピシャーって吹き上がって、すっごいロマンチックだったの!』

 テンションが上がっている清香さんは、電話口からでも分かる喜び振りを見せた。

「それで、萩尾君、何て言ったの?」

『いつか、こんな幸せな日が、当たり前になったらいいな、だって!』

 ピョンピョン飛び跳ねているのだろうか。清香さんの方から、ドッ、ドッという音がする。

『来年もこんな幸せな日々が続くと良いなって、思ったんだ! それだけ言いたかったの! 加奈ちゃんに聞いてほしかったんだ! じゃあね!』

 清香さんは電話を切ってしまった。私は達成感に満ち溢れた表情で、スマホを机に置いた。

「よし、窓を開けよう」

 私は窓を開ける。風はそんなに吹いていなかった。まぁ滅茶苦茶に吹いていたら、大変だけどね。

 そういえば今年の五月に学校で、生活指導の先生が廊下の窓を開けたら、強風で隣の一組の社会科の模造紙が全部外に飛んでってそれ以来帰ってこなかった事件があったなぁ。あれマジで泣いてる人も多かった。成績の付けようも無かったし。

 私はそのことを思い出して、ハッとした。

 そんな、ついこの前あったことが、もう、去年になろうとしているんだ。

 年の流れは速いものである。と実感した日であった。


 私が用意してあった服に着替えて、出かけようと言うところ、急にスマホに電話がかかってきた。

「はい」

 うずうずしているからだろうか、丁度良いタイミングでかかってきた電話に、嫌悪感すら覚えてしまった。

『加奈、私』

 ミサちんの冷めた声がした。

「ミサちん、声聞くの久しぶり!」

 私は思わず声のトーンを高くした。

「どうしたの? 今日、実は…」

『どうせ想太君と遊びに行くんでしょ? 分かってます。それより、昨日、紗枝と一緒にクリスマスパーティしたんだ! 私の家でやったから、窮屈だったかもしれないけど。…でも、紗枝と紗枝の弟の枝理人(えりと)も楽しんでくれたみたいだから、良かったよ。それだけ。じゃあな』

 ミサちんは一方的に喋って電話を切った。私は思わず苦笑する。

 でも、そんなところもミサちんらしいというか…。


 私は、長所なのか短所なのか分からないところを持つ親友に苦笑しながら、家を出た。

 街は、雪一色だった。

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