想太、ついに動き出す
加奈が行方不明になって三十分が経過した。光る腕輪を身に付けているから、見付かるって紗枝さんは言っていたんだけど、全然見付かんない。
幸い加奈が付けている水色の光る腕輪というのは、加奈よりも身長が高い人しか付けていないから、見付けるのにはそんな掛からないだろうけど、にしても三十分は掛かりすぎだろ…と思うが…。
「加奈ぁ!」
思いっ切り叫んでみる。
だが、加奈はいない。周りの人に話を聞いてみるとするか…。
まずは光る腕輪を売っていた所に行ってみる。
若い大学生ぐらいの女の人が店番をやっている。
「あの、すみません」
俺は女の人に尋ねた。
「ん? 何?」
女の人は答えた。可愛らしい声だった。
「あの、ここで水色の腕輪を買った子は知ってますか?」
「あぁあのツインテールの女の子のこと?」
「あぁはい、そうですそうです!」
確かに加奈はツインテールだ。
「その子なら、大柄な男と一緒に歩いていったわよ。あぁ、連れなんだなぁって。遠くから見てたから何の話してたのか分からなかったけど」
「!!!」
「どうかしたの? まさかあの人達、連れじゃないの?」
絶望している俺を見て、鋭く察する女の人。この人、察しがいい。
俺が頷くと、女の人はええっ! と声をあげた。
「じゃああの子まさかその人達にカツアゲされたんじゃ…」
マジですか…。
「その人達どこに行ったんですか!?」
「確か人気の少ない場所…! …今思うと、人気の少ない場所に行くなんておかしなことだったわね…。ごめんなさい、止めてあげられなくて…」
「いいんです。それじゃあ」
俺は礼を言うと、走り出した。
女の人の証言は役に立つのかもしれない。
人気の少ない土手に一人で向かうのは、無謀かもしれない。
でも「多分」誘拐された加奈を絶対救い出してみせる!