恋が実りますように。
私は、莉以君と話し終わり、ミサちんと別れて下見に戻った。
飲食スペースはこの前チャーハンを選んだ中華料理店にしようかな。
そしてカフェは、ショートケーキが美味しかったこのカフェで。
ショッピング…は、兄から貰おう。何かあの人私にべったりだからな。利用出来るだけ利用してしまおう。
「あ、加奈さん!」
ふいに名前を呼ばれ、振り返る。
莉以君にもつい先程呼ばれたが、この声は女の子だ。
さえっちやミサちんは、「加奈さん」なんて呼ばないから、きっと…。
「宮野さん! …それと、誰?」
宮野さんが私に手を振る。その宮野さんの隣に、私より年下の男の子とがいる。
「私の隣にいるのは弟の葉音」
「葉音です。花音お姉ちゃんの弟です」
宮野葉音君は会釈をした。
「花音お姉ちゃんのお友達?」
「正確に言うと、お姉ちゃんのお友達のお友達。加奈さんって言うんだ」
宮野さんが私を紹介する。私は葉音君に「加奈です」と言った。
「加奈お姉ちゃん。…加奈お姉ちゃん~」
可愛い~!
まだ一年生になっていない、可愛らしい弟だ~。
「花音お姉ちゃんがお世話になってます」
幼い葉音君を愛でることに躍起になっていると、宮野さんが「加奈さんはどちらへ?」と言った。
「え? …私は、想太と一緒に遊びに行くんで、その下見に…」
「あ~、そうなんですか? 私も、遥君が誘ってくれたんです、遊園地に。そのお礼に、このデパートで買おうかなって思って。とっても綺麗ですよねこのデパート。遥君と一緒に周りたいな~なんて」
宮野さんが買った物は全て遥君の手元に残るのである。しかも、このデパートを周るって、遥君にとっては自分の家の庭を周るようなもんだけどね。
それは言わないでおこう。
「加奈お姉ちゃん、またね~」
可愛らしい葉音君が、宮野さんの手を引いて歩き出した。
そのとき、宮野さんの目の前に、誰かが現れた。
「きゃ~!!」
宮野さんが葉音君を抱き寄せて目を伏せる。どこまでも弟思いな宮野さんに、思わずキュンとしてしまう。
って、そんなんじゃなくて!
「……って、何してんの、遥君!」
宮野さんが叫んだ。
…え? 遥君?
「バレた?」
遥君が、宮野さんにペロッと舌を出した。
「もう、バレた? …じゃないでしょ、すごくびっくりしたよ!」
宮野さんは遥君を軽く叩く。「へへへ…」と苦笑いをしている遥君。
「僕、びっくりしたぁ…」
心底驚いたような顔で、葉音君が呟いた。
「ごめんね、葉音君」
遥君が謝った。
「何で私に謝らないの? …遥君ってば勝手~」
宮野さんがまた笑いながら遥君を小突く。そのやり取りを見て、私は、ホッとした。
遥君の恋が、どうか、無事に実りますように…。
そう思いながら、私はその場を後にした。




