宮野さんという女の子
「宮野さん?」
私は遥君の家でクッキーを食べながら想太の話を聞いていた。
遥君の好きな人らしい。そんなこと喋っていいの?と遥君に目を向けたが、先ほどジュースとクッキーを運んできたお盆を持ちながら無言で頷いた。多分別の意味で頷いたんだろうけど、とりあえずこういう意味ってことで。
今ここにいるのは私と想太と遥君、そして無事仲直りして誤解も解けた(本編が無事終わったら、番外編として書くね。)さえっちとミサちん。と莉以君。
「宮野さんって、遥さんと同じ塾の女の子なんだって」
へぇ、想太って意外と情報通なのねぇ。
「名前は何ていうの?」
私は遥君に尋ねる。すると遥君はお盆を口に当ててボソッと呟いた。
「み、宮野花音…さん」
宮野花音。何と清楚で可憐な名前であろう。
「の」が二つもついていて、愛らしい印象を受ける。見たことないけど。
「ってか、どんな子?」
想太が身を乗り出す。てめぇは女子か。
「ミディアムヘアーで、細くて、大人しくて、清潔で、超可愛くて、あと」
「それ以上言わないで!」
さえっちが遥君を制した。
「それ以上言われると、自分が惨めに感じちゃう…」
さえっちのうるうるした目に見つめられ、遥君は頬を赤くした。そして目をきょろきょろさせる。 惚れっぽいな、遥君。
「じゃあ今度さ、宮野さんを紹介してよ」
莉以君の無邪気な声。
「え、まぁ、いいんだけど、宮野さんがいいって言ってくれるかどうか…」
遥君の言葉に、莉以君は無言の圧力で「OKって言えや」と伝える。
「…分かった…。今度宮野さんを僕の家に招待するよ」
おっ!流石莉以君!ミサちんから引き継いだのかな、その有無を言わせぬような無言の圧力!
ちなみに私とミサちんとさえっちが『恐怖の大都市』内で使う必殺技、「誰も寄せ付けない無言の圧力」はミサちんから来ている。
「じゃあ、待ってるよー!」
その日は、莉以君の期待と共に締めくくられたのだった。




