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転校生、桐野実優。
桐野実優は、突然、転校してきた。
火曜日だというのに急に全校朝会は開かれ、体育館の壇上に、登場してきたのだ。
桐野実優が。
初め、体育館はざわざわが目立っていたが、校長が制すると、皆黙った。
「皆さんおはようございます。『ニコ☆らぶ』の専属モデル、桐野実優です。私立の女子校から来ました」
皆は実優の美しさに惚れて、ため息をついた。俺は運動会が終わった直後にその美しさに見惚れてため息をついたがな。両想いの人いるけど。
俺は桐野実優が転校生として来た理由が全然分からない。
「今日から四年一組に通うことになりました。宜しくお願いします」
俺達のクラスは歓声に包まれた。東京オリンピックが決まったときってこんな感じなのかな、と思った。
壇上から下りた桐野実優は四年一組に入っていった。
フローラの香りがする。きっと桐野実優の香水の香りだ。
「宜しくね、実優さん」
裕香が実優の手をつかんだ。
「こちらこそ宜しくね」
実優は裕香の手を両手で握った。




