両想い
「僕も、好きだよ、清香」
言っちゃった。
何で俺、言っちゃうんだよ。
浮かれていればよかったのに。
返事してしまった。
明日から、清香に何て言われるんだろう。
もしかしたら、俺も清香が自分のことを好きだと思っていたのだろうか。
でも、清香に限ってそれは有り得ない話だった。
今までの俺にとって、清香と両想いだという事は、太陽が西から東に昇ったり、軽い物が水に浮かばない等の事例が当てはまるぐらい有り得ない話だった。だって両想いの確率は400分の1って言われているんだぞ。
でもまさか、両想いだったなんて、分からなかったのだ。
「な、何て言ったの?」
「は?」
清香が、俺に向かって話しかけた。
いやいやちょっと待ってよ。さっきの告白聞いてなかったの?
俺が数秒の間に考えた告白を、聞いてなかっただと?
「と、とりあえず、清香の告白は聞こえたから! 返事考えとくから!」
自分が生み出した気まずい空気から逃げ出したくて、俺はすぐさま自分の部屋に帰ろうとした。
「待って萩尾!」
清香が俺を呼び止めた。
その瞬間、俺の動きは止まった。
「冗談、冗談だから。ちゃんと聞こえてる。告白、聞こえたから」
え…?
「私の事、好きだって言ってくれてありがとう。その言葉、大切にする。今日はありがとうね。おやすみ」
清香は一方的に喋って、ベッドの中に潜りこんだ。
「何だよ、それ、…ずりぃよ…」
自分だけ喋って、自分だけ逃げて…。
でも、それ、俺と同じだ。
同時に、相手に対する気持ちも、同じものなんだってことも、分かった。




