夏祭りへ行きましょう(未定)
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「ってか、ボール転がして、何やってんのさ」
俺はボールを掴んで投げ飛ばすと同時に言った。
「ドッヂボールだよ。別に関係ないだろ?」
見事にキャッチした加奈は、めんどくさそうに言った。
「誰とやってんの?」
俺が尋ねると、加奈は胸を張って答えた。
「友達と私三人だけ」
「うわ何それクソ悲しいじゃん」
冷ややかに返す俺に、加奈は舌打ちして言った。
「友達いない歴=年齢のお前に言われたくないわっ!」
「んだとっ!? こう見えても幼稚園の頃は友達いたんだぞ」
すると加奈はニヤリと笑みを浮かべて呟いた。
「『幼稚園の頃は』ねぇ…」
「いっちいち揚げ足を取るなクソ野郎! そんなんだったら友達なくすぞ! ってか俺にもちゃんと友達いるぜ! いつも遊んでんじゃん! 忘れたの!?」
俺が負けじと言い返すと、加奈は怒った様子で言った。
「忘れてるわけないじゃん! 馬鹿じゃねぇの!?」
俺と加奈が睨み合っていると、加奈の友達なる人がやってきて、ひそひそ話し始めた。
しかも僕にハッキリと聞こえる声で言ったのだからひそひそ話でも何でもない。
「出た、加奈と想太君の喧嘩」
「もう定番になっちゃったよね。定着しちゃったよ」
ひそひそ話に向かって、加奈は叫ぶ。
「もう全部分かっているよ-、聞こえてるよ」
「げっ、ごめーん」
友達の一人が加奈に向かって謝る。
「怒る気ないけどさ、ムカつく!」
「何かごめんね」
もう一人の友達が、加奈に謝った。
「イライラしてんのは想太に向かって。私達が遊んでるっていうのに悲しいねとかイライラするよ! あぁ殴ってやりたい!」
喚いている加奈に苦笑いしながら加奈の友達が言った。
「まぁまぁ。それよりさ、そんなイライラの気分転換に明日夏祭り行こうと思うんだけど、どう?」
「ホント!? 夏祭り? 行く行く!」
今までの迫力が嘘のように目を輝かせながら首を縦にブンブン振る加奈。
「ついでに友達も誘っていいよ! ちなみに何か買うお金はこっちで出すからね!」
「そっかー! さえっちン家お金持ちだもんね! 確かなんちゃら大企業の社長さんの娘さんだよね」
「山田グループの社長なの。私のおじいちゃんは会長なの」
「あぁいいよねぇお金持ちの一人娘っていうのは」
「一応弟いるんだけど」
「あぁそうだったっけなぁ」
「覚えておいてよぉ。…で、まぁ行く? 夏祭り」
「行くに決まってんじゃん! ビッグチャンス見逃せないよ! 友達も来るんでしょ!?」
「遊びたい友達いるの?」
「いや、後輩!」
「まさかお目当て後輩男子? 花火の上がった瞬間告白ぅ?」
「やぁだミサちんったら!」
加奈がミサちんなる友達の肩をビシバシ叩く。
「微妙に痛いよ加奈」
「ええ、ホント!? ごめんね!」
「いやそんなに熱心に謝らなくてもいいから!」
「でも私好きな人いるからねぇ! その人に告白されたら死んじゃうかもね。」
好きな人?
俺の好きな人には好きな人がいる!?
その言葉に敏感に反応して俺はつい言い返してしまった。
「告白されればいいじゃん死ね!」
「はぁ? ふざけんな!」
しまった! と思って前を見た瞬間にはもう遅かった。
加奈は校舎へ駆け出してしまった。
「加奈、待ってよ!」
追いかける友達二人は俺を振り返ってこう言った。
「想太君後で謝ってね!」
そう言って二人は走り去ってしまった。
あぁ、マズイことをしたなぁ…。