遥君の自宅 ―加奈―
さて、私は遥君のご自宅に招待され、今応接室にいるはずなのだが。
何なんだこのデカさは!
ここはドラ○もんに出てくる骨川邸か!
遥君の家にガクブルしながら応接室のソファに座る私は、遥君が話しかけていることに気付かなかった。
「加奈さんは、一体どういう人が好みなのですか?」
「はぇ? 好み? 何の?」
「男の子のことです」
「んー、私はね、守ってあげたくなるような可愛い男の子かなぁ。顔がとても可愛くて、性格がちょっとひねくれてて、でもいざってときはめっちゃ頼りになる。そんな子かなぁ。同年代か年下ね。年上は顔とか性格がよければ何でもオッケーかな」
私は思いのままを遥君に話した。
まぁ私の好みのタイプは想太なんだけどね。
顔が芸能界レベルに可愛くて、性格がちょっとひねくれてて、でも優しいし、それに誘拐されたときもすごいお世話になったし。時には喧嘩することもあるけど、可愛くって…。
「なさん、加奈さん!」
「ははは…あ、は、はははい! 何でしょうか!」
いきなり人を妄想から引き戻さないでくれるか。
「もうすぐ両親が来ます」
「ついに来た?」
え、もう来るのかよ。よし深呼吸しておこう。…すー、はー、よし(短い)。
もう後戻り出来ないぞ加奈よ。さぁ礼儀正しく、お姫様じゃないけど、友達の親には好印象が残るように、清く正しく美しく!
ガチャ。
ドアが開き、応接室に二人の人が入ってきた。
「父上、母上、お兄様。おはようございます。えぇと、こちらの方は…」
「分かっている。お前がよく話している砂月加奈さんだろう」
身長の高い男の人が私を見る。この人が遥君のお父さんか。よくよく見ればイケメンじゃないか。
「まぁ、美人さんじゃないの。これはこれは、うちの遥にピッタリだわ」
こちらは遥君のお母さん。私より自分の方が美人だよ何故気付かない。
「遥もいい奴連れてくるじゃねぇか。結婚式には呼べよ?」
「お兄様、あくまで友達であって! あぁすみません加奈さん、兄が!」
「いいんだよ…? 別に…」
私が答えると、遥君は「自己紹介してください」と家族に言った。
「申し遅れた。私は立花グループの会長の雅だ。息子と結婚するようになったら私を呼んでくれ。素敵な結婚式にするからな。ガッハッハ!」
何か話が変な方向に進んでない?
「私は雅の妻、美佐子です」
「俺は遥の兄の翔だ。弟が何かしでかすかもしれないが、そんときはいつでも俺に相談しろよ!」
私が思ったこと。
遥君の家って変わってるなぁ。