デパートデート
加奈が遥とデートすることになった。
デートする場所というのは遥の父さんが所有しているデパートで、そこには何でも揃っていて、屋上には遊園地がある。というまさに夢のような所だった。すごいもの所有してんなぁ遥は。
どちらかというなら今度一緒にお出かけしない? と遥が誘ったのが元の原因で、実際加奈はデパートに出かけるということでドキドキしているらしかった。
デパートデート当日。
今回俺が密着するべきデパートは秋雨デパート。名前の由来は知らない。恐らく秋の雨の日に建て終えたから秋雨になったとか多分そんなことだろうと思う。
加奈の自宅からこっそり尾行しておおよそ二十分。足もくたくたになったというのに、加奈はまだルンルンスキップで歩いている。
しかし今日の加奈は格段に可愛い。家にこんな洋服があったのか知らんかったぞ。
だって今日の加奈の洋服は紺色のカーディガンにちょっと黄色がかった長袖シャツにチェック柄のちょっと長めのスカートと更にはベレー帽。今日はちょっと寒い日なのでこの格好は正解である。
これで眼鏡だったら最高に可愛かっただろうに。
彼女は両手を胸の前に合わせながらあたりをきょときょと見回している。
可愛いなぁ加奈。
っていうか今日は紗枝さんと美咲さんは連れてこないのかな。まぁ連れてきたら連れてきたでムードぶち壊しだもんなぁ。
そんなことを考えていると、加奈がスマホを取り出した。
やがて加奈は軽やかにスマホを操作し、電話をした。
「あ、遥君今どこ? …え? すぐ近くって…あぁ、いたいた! 今からそっち行くから!」
加奈は通話をやめてすぐさま走り出していった。
「遥君、待ってたんだよ!? 今までどこいたの?」
加奈が遥に尋ねている。
「どこ…って、デパートの中にいたんだよ? ここ僕んちの所有物だから」
「え、ええ!? マジで? 嘘嘘嘘でしょ!?」
予想の斜め上を行く返答だったのだろう、加奈はベレー帽の上に両手を置いている。その動作がすごく可愛らしい。
「本当だよ? 僕の両親に会ってみる?」
「え、あ、いや、こんな奴と会うなんていやいやそんな…」
「僕の両親は、加奈さんと会うの、とっても楽しみにしてるんだよ?」
「あ、光栄です」
「じゃあ今から会いに行く?」
「うん! 行きたい行きたい!」
遥と加奈はまるでカップルのように歩き出した。
美男美女カップルで、すれ違う人があまりの美しさに翻弄されている。
俺だって絶対負けないんだからな!
ちなみに私は、遥君みたいな奴が現れたら完全に自分の長所持ってかれた気がするね。
別にパーフェクトってわけじゃないんだけどね…。
え? 雑談をするために後書きを使うんじゃないって?
ごめんなさい…。