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小学生の恋物語。  作者: けふまろ
オフ会
13/95

パーティ会場2

 俺が会場のツインタワービルについて、通路の所で加奈達を見つけると同時に、三人はほぼ引いたような目で俺を見つめていた。

「おい、スーツ姿って」

「へ? パーティ会場っていうことだからスーツで来たのに、駄目なの?」

「これはパーティっつっても舞踏会とかそういう類のもんじゃねぇんだよ…」

「そうなの?」

「そうなの。っていうか、ゲームやったの?」

「やったよ! すごい楽しかったよね!」

 そう。一回母親に土下座してダウンロードしてもらった。

 主人公は自分で、顔をカスタマイズ出来る。大都市に引っ越してきた大学生の主人公は、同じマンションに住んでいた隣人の今坂深雪(いまさかみゆき)と一緒に大学に行くことになる。

 深雪と一緒に登校することになって一週間たったある日、大都市から賑やかさが消えた。

 ゴーストタウンと化した大都会で、深雪と生活することになるが、深雪は主人公がある日起床するといなくなっていた。

という感じまで来ている。

 クリアするまでには、実に一年ぐらい掛かるらしい。それくらいボリュームがあるのだ。

 どちらかといえば、ゴーストタウンに現れるゾンビを倒すシューティングゲームなのだが、数々のゲーム実況者がプレイしていて、いまやホラーゲームとして扱われている。

 それなりにホラー要素も多いのだ。ゾンビが画面いっぱいに現れるゲームオーバー画面なんか夢に出てくるほど怖い。

 オンラインでは、ストーリー関係なしに、オンラインはオンラインでオンライン用のストーリーがある。

 加奈達は、一週間で中盤まで登りつめたプレイヤーで、『恐怖の大都市』のオンラインや、実況者の中では度々名前が飛ぶときもある。

 しかもシューティングの腕前も中々のもので、加奈達とオンライン対戦したい人は山ほどいるそうだ。がしかし、加奈たちと俺は一回オンライン対戦したことがあるのだが、フレンドになろうと声かけたところで、黙々とゲームを進める無言の威圧に押され、未だかつて加奈のグループに加入した人物はいない。恐らくこれからも現れないだろう。

 だが現実世界の加奈は勉強も駄目駄目で成績もよくない。顔はいいのに、何故これにはまる。

 いや、ゲーム内で本領発揮しているだけかもしれない。

 彼女は凄い人間である。

 『恐怖の大都市』ではファンクラブが設立されている三人グループの一人、加奈。残り二人は紗枝さんと美咲さん。

 ゲームの中の名前は「カナ」である。

 ファンクラブの中の熱狂的な奴らは、加奈の年齢や学校、住所まで探ろうとしているのだ。

 よっぽどのロリコンか警察に捕まりたいただの馬鹿か。


 そんな『恐怖の大都市』の中では最強の名が付くであろう三人は、スーツ姿の俺を見て、現在沈黙している。

 パーティと聞いていたから正装してきたのだ。正装で来なくていいと言わなかった加奈も加奈だ。

「あー、想太、モデルになれそうなくらい似合ってるけど、これは超豪華版オフ会みたいなもんだからな?」

 うん、加奈、褒めてくれてありがとう。でも今は羞恥心でそれどころじゃない。

 さっきから俺をチラチラ見て話してくる女性陣がいる。恥ずかしいったらありゃしない。

 

『まもなく、パーティを開催いたします。A棟の三階にお集まりください』

 気まずい沈黙を破るかのようにアナウンスが流れた。

「…行くよ想太。さえっちもミサちんも行くよ!」

 加奈が手を引っ張る。

 そしてその会話も聞いたすれ違った人達は…。

「ん、今、さえっちって」

「ミサちんとも言っていたわよ」

「あの子達まさか。」

「ってかあのイケメン誰? 彼氏?」

「正装だってさ。可愛い~」

 あぁ、見られてる。恥ずかしい。


 パーティ会場は大賑わいで、特に俺を連れる最強と崇められている三人組はとても人気で、俺はあっという間に三人と引き離されてしまった。

 アナウンスがまた流れた。

『ではカナさん、ミサッチさん、サエさん達、会場にいるならばステージに登場してください』

 え?

 何がなんだか分からない俺は、何かに引っ張られた。

「加奈!?」

 加奈はズンズンとステージに歩いていった。

 そして、俺は引っ張れているから、ステージに…。

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

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