パーティへ行きましょう。(予定)
突然の告白からおおよそ数十分がたった。
あれから、誰が連絡してくれたのか、警察が人気のない商店街に突入し、誘拐犯達は逮捕された。
大丈夫だったかい、と警察の人達は私に尋ねてきたが、そのとき告白された衝撃で放心状態だった。
次の週の学校では、私が誘拐されたというニュースを聞いたクラスのリーダー的存在、畑野清香が誘拐の件と告白の件同時に発表してくれたみたいで、クラスは騒然となった。
同時に私と想太が両想いだっていう話もあっという間に広がった。
クラスの女子からは何かと冷やかされる。ちょっとした冷やかしだけでも恥ずかしいのに、男子は口を揃えてリア充コール。宗教にでも入ってんのか、と思うほど熱狂的だった。
だがしかし問題があった。
六年やら五年やら、想太のことが好きだった先輩女子やらが何かと集団でクラス内に押し寄せてくる。想太って人気なんだなぁってつくづく思い知らされた。
あと想太と口聞いてないっていうのも問題なんだよなぁ。
想太はただの恥ずかしがり屋なのだろうか。
私は本屋に出掛けた。
目当ての本を持ってさぁカウンターへ直行だ急げというとき、ふと児童向けのコーナーへ立ち寄ってみる。
すると、そこに想太がいた。
私は内心「!!」と思ったが、気配を消してその場を通り過ぎようとした。
よし、想太は後ろを向いている。素通り作戦、成こ…。
「何素通りしようとしてんだよ」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」
まさか気配を感じ取れていたとは。想太、恐るべき相手だ!
「っていうか素通りされると悲しい。何で声かけてくれなかったわけ?」
「いや私ここにいなかったし…」
「じゃあどこにいたわけ」
私は必死に本を見せた。
「ん…? 何この…小説? っていうかこんなの見るんだな」
こんなのとは失礼な! 私がはまっているゲームの小説なのだぞ!
私が必死に熱弁すると、想太は私の声を遮り、ふーんと言った。
「何その目!」
「いやぁそのゲームって確かオンラインだったよな、お前それやってんの? 意外」
意外で悪かったな!
っていうか先輩をお前って呼ぶな!
「意外で悪かったな。オンラインもやってるから、なめんじゃない!」
「そういえば、そのゲームをやっている人が集まる、オンラインパーティっていうものが今度あるらしいな」
私は、その言葉で、思い出した。
そうそう、そうなのよ!
私の大好きなゲーム、『恐怖の大都市』は、オンラインのフレンドと協力する無料の脱出ホラーゲーム。
3Dのゲームで、オンラインのフレンドの顔が見えるってことで、今すごい人気を誇っているパソコンゲーム。
その『恐怖の大都市』の小説が出るんだから、買うっきゃないでしょ!? ってことで今この書店に来ているわけだ。
それに今度はそのパーティ会場にスマホを持って行くと、スマホ版の『恐怖の大都市』が配布されてもらえちゃうわけで!
パーティの内容は来てからのお楽しみなんだけど、兄はといえばパーティ当日は合宿で、両親は行く気もないだろうから、連れはさえっちとみさちんしかいない。
二人とも『恐怖の大都市』は大好きだ。おまけに会話機能もついてるからお喋り出来る。
友達と対戦出来るとは嬉しいことこの上ないのだが、時々見知らぬ輩が入ってくることが何よりの心配だ。
でも私達三人が無言の威圧で黙々とゲームをしているとその変な輩は去っていくから、私達はプレイを邪魔されたことは一度も無い。
そんな私達は明日パーティに申し込む予定だ。
三人で楽しもうと夏祭り以前にも宣言していたことだ。
私がそのことを思い出し、意気揚々としている様子を想太はじっと見てこう言った。
「俺そのゲーム持ってないけどそのパーティ行くわ」
「え、ちょ、ちょっと!」
「申し込んどいて」
「えあちょ…!」
私が突然のことで戸惑っていると、想太は本を手に取り、こう言う。
「いつ? どこで?」
「八月五日。午前十一時から、場所はツインタワービルの三階」
「ありがと」
そう言った想太はカウンターの方まで歩いていった。
残された私は、蚊の鳴くような声で、
「えぇー」
と呟いた。
そのことを見ていた人がいるとも知らずに。
ちなみに作者のうちにあるゲームでオンラインにしてフレンド同士で遊んでいたら、まさかの借りパク発生しました。




