告白します!
先輩があと半年も経たずに居なくなってしまうと考えたら、さみしくていても立ってもいられなくなってしまった。
ついに私は決意する。
「なっちゃん!私、佐藤先輩に告白してくる!」
宣言だけすると、そのままの勢いで私は走り出した。こういうのは思いたったが吉日だ。一晩置いたらきっと怖くて言えなくなっちゃうと思うし。
部活に向かってるだろう先輩に遭遇できる可能性が最も高い、格技場へダッシュしたら、予想通り190cm佐藤先輩のでっかい後ろ姿が見えた。隣に友達っぽい人もいるけど、今を逃すと絶対にいえないと思うんだ。
先輩を捕まえて、一生懸命思いのたけをぶつける。後で後悔したくないから、私は私にできる精一杯の言葉を尽くして頑張った。
先輩に、どうかこの熱い思いが伝わりますように…!祈りながら本日一番お伝えしたい事を告げる。
「大好きです先輩!できればお付き合いして下さい!」
勢いよく頭を下げた。
「………」
「………」
何故か微妙な沈黙が落ちる。
「あの…」
無視はいくらなんでも切ない。
せめて一言くらい何か言ってくれてもバチは当たらないと思う。
そんな気持ちを込めて190cm佐藤先輩を見上げたら、先輩はとっても微妙な顔をしていた。
そして先輩の友人らしき男の人は、体をくの字に折って笑っている。呼吸困難になりそうなくらいの笑いっぷりだ。
「え?あの…先輩?」
さすがに不安になってくる。190cm佐藤先輩は、深い深いため息をついた。
「俺、正面切ってバカにされてるのか…?」
「いや、純粋にコクられてんだろ」
間髪入れずに友人らしき男の人がフォローしてくれる。
バカにするなんてとんでもない!でも、先輩は明らかに気分を害していらっしゃる…私、舞い上がり過ぎて何か失礼な事でも言ってしまったんだろうか。
「今のが、告白…?どこがだ」
「いーじゃん!お前のド天然なトコに惚れてくれたなら御の字じゃん!」
「いや…失敗を『最高に面白かったです!』って力説されてもな…。芸人じゃねぇし」
190cm佐藤先輩ががっくりと肩を落とす。
まさかそれでしたか…!その褒め言葉が地雷なら、今日の告白9割ダメなんじゃなかろうか。
告白の致命的な失敗を悟って項垂れていたら、190cm佐藤先輩は諭すようにこう言った。
「君、多分それは恋じゃない」
…それ、なっちゃんにも言われました…。