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期末テスト

 週があけて月曜日。今日から一週間、金曜までは期末テストだ。

 休み時間になって早速、緋恵の教室へ向かう。しかし、休みでいなかった。情報収集でもしているのだろうか。気になるところではあるがどうしようもない。

 他にも問題があった。常に学年三位以内をキープしているという薬院蒼流の成績のことだ。成績上位者は張り出されるので、俺が薬院蒼流としてテストを受けて、いきなり圏外へと落ちるわけにはいかなかった。

 俺たちは答案の名前欄を書き換えることで乗り切ることにした。答案は後ろから前へ渡していく方式だったので助かった。先生が採点するときに、席順とちがうことに気がつかないことを祈るのみだが、生徒数も多いしたぶん大丈夫だろう。

 緋恵は次の日もこなかった。これでは進展も何もなく終わってしまう。

テストに手がつかないほどまずいと思ったが、金曜になってやっと学校へでてきた。

 緋恵をつかまえて問いただす。

「今週、何やっていたんだよ?」

「いやあ調査が忙しくてね。監視対象者が死んだから、昨日ひさびさに地獄へ行ってこられたよ」

 俺は瞠目し、緋恵の肩をゆすった。

「地獄へ行ったのか!? 姉ちゃんとは会えたのか?」

「うーんそれがねえ……」

 緋恵は歯切れが悪く、顔をそらして、話を続けた。

「魂を交換したことが閻魔大王様にバレちゃってたみたいでちょっとした騒ぎになっていた。今は沙汰待ちで、自宅謹慎されているらしく会えなかったのだよ」

「そいつはまいったな」

 俺はふぅむとあごに手をやり考える仕草をした。

 ばつが悪そうに緋恵がさらに口を開く。

「それと魂の交換ことなんだけど、ごめん!」

いきなり誤られて面食らった。

「え? まだ何かあるのかよ」

「先輩の死神に教えてもらったてわかったことだけど、交換された魂を元に 戻すには、同じ人物がやらないといけない決まりなんだって」

「えッ!? つまりそれは……」

「地獄に居る音羽に会うしかないってこと」

 本当にごめん。再度、緋恵は謝った。

 詰んだ……。俺はその場に崩れ落ちそうになった。

「こっちから会いに行くたって死ぬしかないじゃん……」

 ぽろりと出た言葉に、緋恵は指をぱちりと鳴らした。

「その手があったね! ナイスだよけいごん」 

 死神らしく不吉さを漂わせる笑顔だった。

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[気になる点] 余字:た 「先輩の死神に教えてもらったてわかったことだけど、
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