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緋恵

 緋恵は俺の質問に答えず言った。

「知っている? 魂にはぼんやりとした色や形のゆらめきがあるんだよ。綿菓子みたいな感じ? 警ごんの魂が、薬院さんのものと変わっているのを見たときは心底驚いたよ。それからしばらく遠くから観察していたってわけ」

 そこまで言うからには、そろそろ来る頃だとわかっていたというのもあながち冗談ではない気がする。

「姉ちゃんの言っていた死神のともだちってお前なんだよな」

「そうだよ。最近、連絡来ないから心配していたんだけど、どうしたのかな?」

 俺は黙ってポケットから姉ちゃんのケータイを取り出して机の上に置いた。

 今度は緋恵が驚く番だった。

「はてにゃ? なんで音羽のケータイがここにあって、警ごんが持っているのさ」

「姉ちゃんが地獄に戻るときに落として行ったんだよ」

 緋恵は一瞬真顔になると、次の瞬間噴出した。

「にゃははははっ、おっちょこちょいの音羽らしい。あーお腹痛い。地獄にしばらく帰ってないけど、今度あったら閻魔様に大目玉もらったとか言いそう」

 緋恵はなおも涙まで流して笑い続けている。俺は片頬をひきつらせて笑いやむのを待った。

「ちょっ、どういうことなの? ふたりともなんの話しているの?」

 横で俺たちのやりとりを見ていた警吾が当然の疑問をぶつけてくる。

「俺の姉ちゃんがドジで、そのドジのともだちの死神が緋恵だったってことさ」

「死神って普通に高校生やっているもんなの!?」

 驚くところそこかよ。でも確かに言われてみればそうだな。まっ、それはそれとして今は、

「姉ちゃんと連絡取りたいんだけど、そのケータイ壊れていて使えないんだよ。どうにかならないか緋恵?」

 笑い終わった緋恵が応じる。

「ん? 別にそのケータイ壊れてないよ」

「へ?」

「人間には使えないだけってこと。霊界の者しかもっていない霊波がないと通話できないようにセキュリティがかけられているのだよ。どこぞのノートみたいに、たまたま拾った人間が死神のケータイ使えたらまずいっしょ」

 意外とセキュリティしっかりしてたー。

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