地獄研究会
「ようこそ地獄研究会へ。警ごんに薬院さん」
警ごん? そんなあだ名で呼ぶのには一人しか心当たりがない。
「お前誰だ?」
にやりと口元を歪ませると黒い影は、三角帽子を脱ぎ捨てた。
「誰だと思った? 桜坂緋恵ちゃんだよ。雰囲気出すためとはいえ暑い暑い」
こいつは誰か来るまでこの姿でいつもまっていたのか……。
「なんでお前がこんなところにいるんだ?」
「愚問だね。所長だからに決まっているよ。あ、ちなみに他に部員はいないから。それよりも、なんでさっきから薬院さんが緋恵のことに反応しているのかな?」
全てを見透かしたような意地悪な笑みを浮かべて言う。
「それはだな……」
警吾が俺のわき腹をひじでつつく。緋恵に背を向けてこしょこしょと相談する。
「この子あんたの友達なんでしょ。話して大丈夫なの?」
「逆に見ず知らずの他人に話すよりは信じてもらえるんじゃないか? とりあえず研究会の実力をためしてみようぜ」
俺は正面に向き直ると緋恵にきいた。
「俺たち二人がここにきた理由。お前ならわかるんじゃないか」
緋恵はううーんと唸ると、どくろの上で手を回した。やがて、はうっと声をあげた。
「二人がここに来たのは、交換された魂を元に戻したいから。ちがう?」
ずばり的中されて、俺は手の中がじっとりと汗ばむのを感じた。
警吾は微動だにせず完全に固まっている。
「どうやら正解みたいだね。どう? すごいっしょ緋恵」
緋恵はあまりない胸を張ってふふんと鼻で笑った。
「これを見たらもっと驚くよ」
次に緋恵が机に置いたものを見て戦慄した。
なんとそれは、姉ちゃんのと同じケータイだったからだ。どくろ型のストラップまで同じだ。
突然に地獄で聞いた姉ちゃんの言葉が反芻された。
『あ、これ? 今、地獄で大流行中のどくろちゃんストラップなんだよ。かわいいいでしょ。死神のともだちにもらったの』
死神のともだち――。
おいおい。いや待て。俺は混乱して、右手を机につき、左手で顔を覆った。ということはだ。
俺はごくりと唾を飲み込んだ。半分はバカバカしいと思いながらも訊かずにはいられない。
「緋恵、お前まさかとは思うが死神なのか」




