放課後の戦5
ライカと別れ帰り道。
「お前、格ゲーめちゃくちゃ強いな。びっくりしたぞ」
警吾はふふんと尊大に鼻をならした。
「ライカ君が好きらしいから練習していたのよ。ネットでしか対戦したことなかったからちょっと緊張しちゃったけどね」
「あれで緊張してたってマジかよ……」
俺より強いんじゃないかと思いへこんだ。
「練習している間にハマっちゃってね。いつの間にか強くなってたみたい。あー今日はライカ君と遊べて夢のような時間だったわ」
周囲から見ると友達同士の男子がただ単に遊んでいるだけにしかみえなかっただろうに、それでも警吾的にはよかったのだろうか。
「なぁもしかしてお前ライカのこと好きなのか? あいつは――」
「ちょっバカ! 何いってんのよバカ」
「ぐべっ」
両手で思い切り突き飛ばされて電柱に当たった。2ヒットコンボ俺の中でそんな声が聞こえてきそうだった。
「いててて。いやもう、もろばれだから。どちらにしろ不幸になるだけじゃないのか?」
「不幸? なんで?」
「今日、ライカと接していたのは山王警吾としてであって、薬院蒼流じゃないってことだよ」
「あ……」
舞い上がっていてそんな簡単なことにも気づかなかったらしい。こいつらしくもない。よほどライカのことが好きなのかなあ。
「で、でも」
胸の上で片手を握り、必死に訴えかけようとしてくる。
「あっ、ほら。男同士というのもありなんじゃないかなーと思って」
「ぶほっ! ねーよ! どんだけ腐ってんだよ」
「だったら戻ってこれらたときのために、蒼流の姿で仲良くなっておいてもいいよ」
魂が戻れること前提であれば悪くない考えようにおもえる。しかし、今は何も手がかりがない。姉ちゃんが落としていった黒の携帯ぐらいだ。あれさえ繋がればワンチャンあるかと思うかもしれないが、今はどうにも情報が足りならない。
「俺はますますライカとのガチホモ疑惑が立つのか。却下だな」




