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風来の日曜日3

 しばらく間があってから、警吾は我に返るといきなりどたどたとリビングから飛び出していった。足音が遠のいていき、再び近づいてくる音がして、警吾は戻ってきた。その手には財布が握られていた。

 心なしか目が輝いているように見える。

 警吾は照れ隠しなのか、そっぽを向きながらすっと手を差し出した。

「その……支払いはカードでいい?」

「え? クレジットカード? 買いに行くスーパーで使えるならそれでもいいんだが、大丈夫なのか?」

 少なくとも俺の家の近場にあるスーパーではクレカ払いには対応していなかったはずだ。というかクレカなんて生まれてこの方使ったことがない。そもそも高校生でも使えるのか?

「クレカは高校生だと使えないわ。でも大丈夫。これはデビットカードだから。パパが作ってくれたの」

「へー。ラビットだかなんだか知らないが使えるならそれでいいや」

「あ、でも余計なものまで買ってきちゃだめだからね!」

「ん? お前は着いてこないのか? できれば荷物持ちを頼みたいんだが」

「今の姿であんたといっしょに仲良く買い物なんてしているところを誰かに見られたら、それこそ近所で変な噂が立ちかねないでしょ」

「まっ、それもそうか」

 ラッキー。思わぬところから自由が転がり込んできた。次郎丸の散歩以外で外出できようとは思いもしなかったぜ。

 というか、散歩中でも犬を放置していれば自由になれたんじゃね? まぁ、あんなになつかれちゃ放っておけないけどさ。や、別に動物愛護に目覚めたというわけじゃないぞ。

 あふれてくる笑みを押し殺しつつ、カードを受け取ろうとしたその瞬間。警吾はさっとカードを持つ手を上にあげた。

「あれ?」

 警吾は上から冷え冷えとした視線で俺を見下ろして言った。

「あんたを野放しにするほど信用するわけじゃないわ。もし帰ってこなかったら、すぐにカードを停止してもらうようパパにメールするから。変な考えは起こさないことね」

「てへっ☆ 了解」

 全部見透かされていたかー。俺はやけくそになって頭の悪そうな返事をした。

 平原な胸の内で、大きくふくらむ期待という名の風船が、急激にしぼんでいくのを俺は感じた。

 よろしいと警吾は満足げに笑顔で頷いた。

「じゃっ、あたしは部屋に居るからご飯ができたら呼んでね」

 警吾は軽快な足取りでリビングから自分の部屋へと出て行った。

「……。夕方まで何すっかなー」

 横に目をやると、嫌なものが目に入った。

「まずは食器洗いで決定だな……」

 幸いにも、食器洗い器があったので助かった……と思っていたが甘かった。食器棚にある食器は長年使われている様子がなくほこりをかぶっていて、結局、全部を食器洗い器にかける必要があったからだ。

 食器の前片付けだけで、何も考えずに夕方まで時間が過ぎた。

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