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一方その頃


「ないっないっ! どこにもなーいっ!」

 地獄の底で彼女は叫び声をあげた。

 ここは三途川六十六丁目にある地獄の家。音羽が身を寄せている職場兼住居である。音羽は部屋中を半べそかきながらごそごそとある物を探しまわっていた。床下を探すのに夢中で、背後から黒のショーツが丸見えになっていることにも気づかない。

 音羽は焦っていた。とてもすごく。

「んみー……。あれがないと閻ちゃんに殺されるよぅ。いい子だから出ておいでケータイちゃーん」


 わざと姉ちゃんが携帯電話を落としていったという弟の予想はものの見事に外れていた。事実はただ単に音羽のドジが炸裂しただけのことだった。


やった! 第3章、完ッ!


お待たせしてごめんなさい。狙ったわけではありませんが、偶然にも投稿してから一周忌。いえ、一周年。やっとこせ第3章の区切りがつきました。

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