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Get Over The Bamier!

今回の話にあわせて前回の会話の内容をより自然な流れになるように少し変更しています。いつも読んで下さっている方はご注意ください。

 他人の家独特の居心地の悪さに居たたまれなくなって何か話題にできるものはないかと周囲を観察する。壁の棚には異国の民芸品らしきものが多数飾られている。俺はそれを見ながら訊ねる。

「見たことないのが棚に飾られているけど、旅行すきなのか?」

「ああ、それ? 海外出張の多いパパが滞在先で買ってきたお土産よ」

「海外出張が多いってお前の親父は何の仕事してんだ?」

「パパはただの普通の会社員よ。ゼネコン――ゼネラルコントラクター。いわゆる総合建設業の建築士ね。主に海外のリゾート地でホテルなんかを建てているわ。だから家に居ることはほとんどないってわけ」

 俺はなるほどと合点がいった。建築士といえば高給取りの代名詞のような職業だ。しかも海外で活躍しているとなると相当稼いでいるにちがいない。ならばこの豪邸も納得できる。もしかするとこの家も蒼流の親父の設計かもしれない。

「で、あんたの家族は何してんのよ?」

「え? 俺んち?」

 突然に俺の家族の話題を振られて焦った。蒼流の親父と比べてしょぼすぎるからだ。俺は肩をすくめた。

「それこそごく普通のサラリーマンさ。親父は今、単身赴任で県外で働いている。親父だけじゃ心配だってんでおふくろもついていっているから実質一人暮らしだな」

「へーお互いに一人暮らしなんて好都合じゃない」

 確かにと俺はうなずいた。家族が近くにいないというのは入れ替わり生活をしていく上で大きな利点になる。

 そんな話をしながらきょろきょろと辺りに目をやるとテレビの下にこの場にそぐわないようなものを発見した。

「お前ゲームなんてやるの? すっごい意外なんだけど」

 テレビ台の下にあったのは国産ゲーム機、PS4だった。

「あ、や、それは……」

 なぜか警吾は動揺した。

「べ、別にゲームぐらい女の娘がやってもおかしくないでしょ」

 警吾のいうことは一理ある。乙女ゲーといった女向けのゲームだってあるしおかしくはない。しかし、PS4本体よりも大きい、あるものが一際異彩を放っている。

「いや、そうかもしれないけど、わざわざアケコンまで用意する奴はそうそういないだろ」

 PS4の前に鎮座しているのはアーケードコントローラー。略してアケコンだった。スティックとボタンにアーケード(ゲーセン)と同じものが用いられており、格闘ゲーマーにとっては憧れの一品だ。その分、値段も結構する。俺も前からほしいと思ってはいるが、携帯ゲーム機のソフトを買うので手一杯で据え置き型のPS4まで資金が回らないというのが現状だ。そのアケコンがこの場にあるということは警吾が筋金入りのゲーマーだということを如実に示しているようなものだ。

「う、うっさいわね。あたしは形から入るのよ!」

「形からねぇ……」

 警吾がカチャカチャとスティックを動かしながらゲームをする姿を想像してみる。だめだ。今までの学校での姿から全然イメージがわいてこない。俺の訝しげな視線に耐えられなくなった警吾がテーブルを両手で叩く。

「そんなことより! 問題はこれからどうやって生活していくかじゃないの」

「う……確かにそのとおりだな」

 警吾の剣幕に負けて俺は同意するしかなった。ゲーム機の謎はおいといてそろそろ本題に入ろう。

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