対面
この辺の描写は曖昧なので、あとで若干の変更があるかもしれません。
ゆるりと速度が落ち、俺たちふたりは空中でふわりと静止した。
眼下に広がる公園の一角には巨大な塊が突き刺さっている。ありえないことだけど、空から降ってきた影の正体は隕石だったようだ。
そういえば、最近、日本の各地で同じことが起こっているとか朝のニュース番組で言っていたような。だがこの際、そんなことは関係ない。俺の命を奪ったのは紛れもない事実だ。
もどるべき肉体がミンチになっていたらどうしようもないんじゃとやきもきしていたが、心配無用だった。隕石のすぐ傍らによく知っている大きな身体がころがっていたからだ。
腕も足も二本ずつしっかり生えているし、首もつながっている。口をだらしなく開きよだれをたれ、白目を剥いてる。くっ……見るも無惨だ。
状況からして、直接隕石に潰されたわけではなく、吹っ飛ばされた衝撃で俺は死んだらしい。閻ちゃんが死ぬ予定ではなかったと言っていたのは、天災という不慮の事故だったからかもしれない。
「かわいくない顔―」
そのかわいくない顔の中の人が隣にいるんですけどね。
姉ちゃんはたまに失敬だ。
ともかく無事に身体のある場所にまで戻ってきた。
どうやら成仏せずには済みそうだ。
安堵の溜息を吐くと、一抹の不安がこみ上げてきた。
「そうだ、あいつは――委員長はどうなったんだ?」
俺は自分の身体が無様に寝転んでいるあたりをきょきょろと捜した。
――居た。
俺の身体からほんの少し離れた場所に小柄な少女がうつ伏せになって倒れているのを発見した。ぴくりとも動かない。まさか――
「姉ちゃん、あそこに女が倒れているのわかる?」
「んみー居るね。あの女の娘がどうかしたの?」
「う、うん。同じクラスの学級委員長なんだけどさ、まさか、し、し、し……」俺はごくりとつばを飲み込んだ。「死んでないよな?」
身を挺して救おうとしたのだ。俺だけが生き返って、委員長が死んでしまっては浮かぶに浮かばれない。いや昇天するつもりなんてさらさらないけど。
 




