ぼくは猫
雨。ぼくが一番はじめに感じたもの。それは悲しくて、とても冷たかった…。ぼくは小さな身体を一生懸命に動かして家であるダンボール箱の内からよじ登って外を見る。そこにはたくさんの人が居て、ぼくなんかに見向きもしないで誰もが足早に歩いている。その光景に圧倒されているぼくは目を点にして凝視し続けた。ポツッ。頭に何かが落ちてきた。少し痛かったから、ダンボールにすぐさま頭を引っ込めた。雨だ。ポツッ!ポツッ!とぼくのお家を叩く雨はだんだん強くなっていく。遂に雨音はザー、ザー!って音になった。ぼくは恐くなってお家の隅で丸くなってブルブル震えていた。雨もお家の中に入ってきて、ぼくをイジメル。それからどれくらい経ったか覚えていない。ぼくは、いつの間にか寝ていた。雨は止まない。起きたぼくがダンボール箱から顔を出して辺りをキョロキョロ見回しても誰も居ない。寂しくなったぼくは思い切ってお家から出てみようと思って、爪をたててダンボールをよじ登る。でも、ぼくは登りきれずにダンボール箱の中に転げ落ちた。ちょうどその時、ぼくの頭を濡らし続けた雨が止んだ。身体を起こして見上げてみると、空が真っ赤になっていた。傘だ。それを後ろに誰かがぼくの顔を覗き込んでいる。
「にゃ〜」
心細く泣き声を上げるぼくをその人は抱き上げてくれた。
「大丈夫だから…」
人はそう言ってくれた。
その人はぼくを抱き上げたまま歩きだした。
ほのかに香る甘い香が鼻を擽る。
暖かい。その人の胸に抱かれてぼくはその時そう思えた…。
即席(20分)故に内容がつまってないような…。