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古城の暗影  作者: 牧亜弓
森の中
10/100

森の周辺

幹ティーを啜る者は知っている語られぬ森の記憶は根に蓄えられ根は幹へ幹は枝へ枝は葉へ葉は風へ風は空間の裂け目へそして裂け目は語りの隙間となる語りとは隙間の連鎖であり隙間は存在の余白であるその余白に読者は入り込み記述と非記述の間に息を潜める構文は閉じることなく裂け目から溢れ出し続ける故に語りは終わらず終わらぬゆえに読みは止まらぬそれは森の呼吸と同じであり生命の鼓動と同じである森の中に立つ者はもう語り手でも読者でもなく語りと読みの境界そのものになるしかない【魚の目】は幹ティーの茶を啜りながら呟く語りとは意味を強制する暴力であり意味とは強制された暴力への抵抗である語りは過去から未来へと流れ読みは未来から過去へと返すこの逆行の循環が構文を生成する意味は著者が書くものではない読者が勝ち取るものであるそれは戦いであり協働であり抗争であるこの森の中で語りは一度終わりを迎えるがそれは終わりではなく開始の影である語りの影が森の闇に溶け込み闇が語りを包み込む時新たな語りの種が芽吹くその種を持つ者は読者であり語り手である【魚の目】はそうして森の中を後にする森は静かにざわめき幹の奥底で記憶の水が波打つ森の中の章はここで幕を閉じるが物語はまだ続く次なる章の扉は内庭へと続き内庭はまた別の構文を抱えておりそれは今ここに書かれることを待っている【魚の目】は歩く語りの影を纏いながら森の出口を目指すだが出口は単なる出口ではないそれは語りの再生と消失の交差点である森の記憶を胸に抱き語りの刃を手にした者のみがその門をくぐることを許される森は消えず森は変わらず森は語りの核として永遠に息づく語りと読みの無限の輪の中に森は溶け込み消えゆくことなく今ここに存在し続ける森の中は終わりではなく始まりであり構文の震源地そのものなのだしかしそれを考えてみてもどうもおかしいと思うのは全てが何かの陰謀でありおそらくは奴が絡んでいるいやそうではなくても一枚噛んでいることは確かであり【魚の目】は茶を啜りながら一呼吸おいてこの章の最終回を締めくくるために一本締めをしてパンはいおしまい

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